紹介会社からの仕事はあるものの、自社のホームページや電話への相談が少ない。そうした状況を変えたい遺品整理会社は、現在の受注経路と、自社で問い合わせに対応できる体制を先に整理しましょう。
直接相談を増やすには、サービス内容を説明するページと受付を整え、Googleマップや既存の紹介関係など、自社で運用できる入口を一つずつ育てます。この記事では、紹介の仕事を続けながら直接受注の件数と費用を記録し、集客方法の比重を見直す手順を解説します。
直請けと自社集客の違い

利用者と直接契約することと、自社の活動で問い合わせを獲得することは、分けて考える必要があります。紹介サイトを経由した仕事でも、利用者と自社が直接契約する場合があるからです。
たとえば、遺品整理の相談所の掲載案内では、初回電話は運営側が受け、紹介後は基本的に登録店と利用者が直接取引すると説明しています。これは同サービスの仕組みであり、紹介サイトすべてに共通する条件ではありません。
自社の受注を、次のように契約相手と知った経路の二つで整理してみましょう。表は分類の例です。実際の契約書と受付記録に合わせて区分します。
仕事の入り方の例 | 自社の契約相手 | 集客経路としての記録 |
|---|---|---|
自社のサイトを見た遺族から依頼 | 遺族などの利用者 | 自社サイト。分かれば検索・広告なども記録 |
紹介サイトを通じ、利用者と直接契約 | 利用者 | 紹介サイト名 |
元請会社から作業の一部を受託 | 元請会社 | 元請会社名 |
紹介手数料の負担を見直したいなら、直接契約の割合だけを集計しても課題は分かりません。どの経路から来た仕事に、どの費用がかかったかを結び付けて記録します。
この記事で増やす対象は、自社のページや地域での案内を通じて受ける相談です。既存の紹介先との取引を続ける場合は、顧客への連絡や再依頼の扱いなど、契約上の条件も確認してください。紹介された利用者を無断で別経路に付け替える方法は採りません。
紹介依存度と集客費用
集客経路ごとに、相談、見積もり、受注の件数を並べましょう。受注につながらなかった相談に使った費用や時間も含めると、紹介を減らした後に自社で負担する仕事を見積もれます。以下は、社内で比較するための記録方法の提案です。
経路別の受注記録
電話が来た場合でも、経路欄を電話だけで終わらせないようにします。連絡方法とは別に、自社を何で知ったかを聞いて記録します。フォームなら、どのページから相談したかも分かる範囲で残しましょう。
台帳には、少なくとも次の情報を付けます。
- 自社を知った経路と、相談を受けた日
- 作業する地域、希望時期、自社に頼みたい作業
- 見積もりの実施日、受注、失注、検討中の区分
- 受注金額と、紹介料や広告費などの集客費用
- 受付と見積もりに使った時間、断った場合の理由
紹介経由の受注件数を全受注件数で割れば、紹介への依存度を件数で確認できます。売上の依存度も見たい場合は、紹介経由の売上を全売上で割って別に記録します。集計期間と、受注した日で集計するのか作業した日で集計するのかをそろえてください。
直接受注の割合が上がっても、直接受注の件数が増えたとは限りません。紹介の件数が減っただけでも割合は上がります。直接受注の件数、会社全体の受注件数、売上を併せて見て、仕事を失った結果を改善と取り違えないようにします。
集客費用の比べ方
一件の受注にかかった費用を比べるなら、その経路で相談を集めるために使った費用の合計を、そこから受注した件数で割ります。紹介経由では掲載料や紹介料、自社獲得では広告費や運用外注費などを計上します。受注ゼロの経路は割り算ができないため、使用額と相談件数をそのまま残します。
計算の例として、ある施策に6万円を使い、受注が3件だったと仮定すると、一件あたりの集客費用は2万円です。これは業界の相場や実績ではありません。成約しなかった相談に使った費用も6万円に含め、受注した案件だけの費用で計算しないことがポイントです。
そのうえで、作業員の人件費、車両や資材、適切な収集運搬・処理の手配にかかる費用なども受注金額と照合します。自社サイトの制作費のように複数月にまたがる支出は別欄に置き、比較する期間への配分方法を決めてください。紹介料がなくなった分だけ利益が増える、という計算にはしないようにしましょう。
同じ依頼者から電話とフォームの両方で相談が来た場合は、同じ案件番号へまとめ、相談件数や受注件数を二重に数えないようにします。紹介を受けた後で自社サイトを見た人は、最初に知った経路と契約前に参考にしたページを別欄へ記録してください。サイトを見たという理由だけで紹介案件を自社獲得へ移さず、経路不明の案件は不明のまま集計します。
直接相談を受けるための準備

自社へ連絡した人に、依頼できる作業と見積もりまでの流れを案内できる状態を作ります。紹介会社が代わりに聞いていた内容も、自社で確認する必要があります。現場担当者だけに電話が集中するなら、広告を増やす前に受付の分担を決めておきましょう。
サービスページに必要な情報
最初に整えるのは、受けたい相談に対応するサービスページです。対応地域、仕分けや搬出などの作業範囲、料金が決まる条件をまとめます。最低価格を載せる場合は、その価格でどこまで作業するのかを添えてください。物量や搬出経路を確認して初めて確定できる料金は、見積もり時に確認する項目として示します。
国民生活センターの注意喚起でも、遺品整理の契約前には作業内容や料金、支払方法、解約料などを確認するよう案内しています。依頼者が残したい品を、どの段階で、誰と確認するのかも説明に加えましょう。
会社概要と連絡先に加え、自社が行う業務と、他社へ手配する業務の区別も必要です。家庭から出る廃棄物の回収について、環境省は市区町村の一般廃棄物処理業許可や委託が必要と説明しています。古物商や産業廃棄物処理業の許可だけで回収できると案内せず、対応する自治体のルールと実際の手配先に沿って記載してください。
ページ内での並べ方や文章の例は、遺品整理のLP構成と作り方で詳しく説明しています。新しいページを増やす前に、今あるサービスページで必要な説明をそろえられるかを確認しましょう。
電話とフォームの受付
初回の連絡では、訪問できるか、希望の日程で見積もれるかを判断する情報から聞きます。電話担当者が使う質問の例は次のとおりです。
- 作業する建物は、どの市区町村にありますか。
- いつまでの整理を希望されていますか。退去日などは決まっていますか。
- 家財全体の整理か、残す品を選ぶ作業か、どのような依頼をお考えですか。
- 現地で立ち会える方と、今後の連絡を受ける方はどなたですか。
遠方からの相談では、立ち会いが難しい場合の確認方法や、鍵の受け渡しに対応できる条件を個別に案内します。写真を送ってもらう方法があっても、その場で撮影できない人には別の確認方法を用意してください。
フォームを送った後に誰が連絡するのか、電話を受けられなかった場合は誰が折り返すのかも決めます。自社で守れる返信の目安を表示し、担当者への通知が届くかを実際に送信して確認しましょう。送信完了の表示だけで受付まで届いたと判断せず、受信先でも確認します。
自社で相談を集める方法

受付が整ったら、現在の自社にあるページ、紹介関係、運用担当を基に、追加する施策を選びます。すべてを同時に始める必要はありません。次の表で、自社に近い状況から着手する候補を選んでください。
現在の状況 | 最初に取り組む候補 |
|---|---|
ビジネスプロフィールの案内が古い | Googleマップの情報修正 |
サイトは見られているが相談が少ない | サービスページと事例からの案内 |
紹介を相談できる取引先がある | 対応範囲と連絡窓口の共有 |
受付に余力があり、試す予算を確保できる | 検索広告の準備 |
これは着手順を決める目安です。各方法で何を用意するかを、以下で説明します。
Googleマップ
すでにGoogleビジネスプロフィールがある会社は、オーナー確認の状態と、営業時間、電話番号、提供サービスなどの情報を点検します。リンク先は、利用者が依頼内容と連絡方法を確認できる自社のページにします。
Googleは、ローカル検索結果を関連性、距離、知名度などで決めると説明しています。正確な情報や写真を用意しても、特定地域での順位を保証することはできません。表示回数だけでなく、そこからどのような相談が来たかを受付記録に残して判断します。
サービスページと作業事例
すでに自社サイトへアクセスがあるなら、見られているページから料金や見積もりの案内に進めるかを確認します。作業事例には、実際に対応した地域と依頼の背景、引き受けた作業を、掲載できる範囲で加えます。片付いた部屋の写真だけでは分からない対応内容を文章で補いましょう。
たとえば、家族が保管したい品をどう確認したか、搬出前に何を養生したか、梱包や引き渡しをどこまで受けたか、といった情報です。これらは記載項目の例なので、自社が実施していない対応を事例へ足してはいけません。地域名だけを差し替えたページを並べるより、対応内容を説明できる事例を一件ずつ蓄積する方法を勧めます。
事例からは、その作業を依頼できるサービスページへ案内します。
紹介先への案内
すでに関係のある不動産会社や葬儀社などがある場合は、自社が受けられる地域と作業、見積もりの頼み方を伝えます。利用者に自社を紹介してもらう形か、相手企業から作業を受託する形かを、最初に区別して話しましょう。
提携先とは、連絡窓口、費用の負担、日程調整、作業後の報告を誰が担うかを決めます。ウルタロウの提携案内でも、相談受付から現場対応、報告までを分け、費用や対応範囲をすり合わせる流れが示されています。これを参考に、自社の取引条件を一枚の案内にまとめると、紹介先へ説明する内容をそろえられます。
新たな候補を探す場合は、遺品整理の営業先を参考に、相手の業務と自社の対応範囲が合うかを確認してください。紹介してもらえる件数を前提に売上を組むのは避け、実際に届いた相談から関係を広げます。
検索広告
受けたい地域と作業が決まり、電話や見積もりに対応する余力がある会社は、検索広告も検討できます。まずは使える予算と、相談後の結果を記録する担当者を決めます。広告経由の問い合わせを受けても対応できない状態なら、先に受付を補う必要があります。
配信する地域や検索語句の設定は、遺品整理のリスティング広告で確認できます。クリックや電話ボタンの操作だけを受注として数えず、訪問見積もりや契約まで追って費用を見直しましょう。
口コミの依頼と写真掲載

作業後の口コミは、利用者が自分の体験を、自分の言葉で任意に投稿できるよう案内します。評価や文章の内容は、投稿する利用者に任せましょう。
Googleの投稿ポリシーでは、投稿への見返りを用意することや、肯定的な口コミだけを募ること、投稿を強要することなどを禁止しています。受付や現場の担当者にも、次の扱いを共有しましょう。
- 口コミへの投稿と引き換えに、割引や品物を渡さない。
- 満足した人だけに投稿を依頼したり、低評価の投稿を止めたりしない。
- 星の数や書く内容を指定せず、その場での投稿を求めない。
案内文の例は、次のように短くできます。「よろしければ、ご利用になった感想をGoogleマップにお寄せください。投稿は任意です。」実際に案内する場合は、自社の投稿先が開くリンクを付け、利用者が操作に困ったときも内容の代筆はしない運用にします。
作業写真を事例に使うときは、掲載の許可と公開する範囲を確認します。アルバムの写真、書類の氏名や住所などが写り込んでいないかも見直してください。掲載を断られた場合は無理に頼まず、公開可能な作業内容を文章で説明します。素材写真を使うなら、その旨を示して自社の作業実績と混同させないようにしましょう。
紹介を併用する移行手順
既存の紹介経由の仕事を続けながら、自社で相談を受け、見積もり、作業まで対応できる範囲を広げます。紹介を減らす判断は、直接受注の件数と採算を確認した後に行いましょう。進め方の提案は次の順序です。
- 現在の受注を経路別に整理し、紹介料や受付に使う時間を記録する。記録のない過去の相談は不明のまま残し、今後の受付から記入する。
- 自社のサービスページと連絡先を点検し、問い合わせを受ける担当者を決める。希望の日程や作業を確認して返答できる状態にする。
- Googleマップ、作業事例、既存の紹介関係、広告から一つを選んで取り組む。開始日と使用額を記録し、直接相談から受注までの結果を追う。
- 直接受注の件数と費用、受付・現場の余力を基に、次に増やす施策と継続する紹介先を決める。契約の更新や解約条件も確認して比重を調整する。
結果を見るときは、同じ期間に受けた相談を、受注済み、検討中、失注に分けます。まだ見積もりの日程を調整している案件を失注に含めると、施策を早く見切る原因になります。問い合わせが少ない期間は、一件ごとの受注理由や対応できなかった理由も読み、率だけで結論を出さないようにしてください。
また、自社経由の相談が増えても、返信が遅れたり現場の手配が追い付かなかったりする場合は、集客を追加する前に対応の分担を見直します。紹介会社が担っていた受付を自社へ移す際の負担も、ここで点検します。
目指すのは、自社が受けたい仕事を継続して受けられる状態です。まずは直近の受注記録と受付の流れを並べ、次に増やす入口を一つ決めてください。



