他社から依頼された清掃現場を担当しながら、自社名で相談を受け、顧客と直接契約する仕事も増やしたい。その段階では、集客方法に加えて、問い合わせを受けた後の見積もり、契約、請求を自社で進める準備が必要です。
まずは受けたい地域と作業を限定し、受付から作業後の相談までの担当と、廃棄物の回収体制を確認しましょう。その内容を自社のサービスページと連絡窓口に反映し、準備や接点のある検索・紹介経路を一つ試します。紹介経由でも顧客の契約相手が自社なら直請けとして整理できるため、流入元と契約相手を分けて記録し、集客・見積もり・受付の費用を含めた採算で拡大を判断します。
この記事では、直接契約する案件の数え方、受注体制の準備、相談を得る経路、採算と試行結果の確かめ方を順に説明します。
直請けと紹介や下請けの違い
本記事では、依頼する顧客と自社が直接契約する受注を「直請け」と呼びます。清掃を依頼したい人がどこで自社を知ったかと、誰と契約するかは、分けて考えます。
たとえば、不動産会社から紹介された人が、自社の見積もりを確認して自社と契約するなら、紹介を入口とする直請けです。一方、別の清掃会社が顧客と契約し、その会社から依頼された現場を自社が担当する場合は、現場で顧客に会っていても、その清掃会社から受けた仕事として区別します。
問い合わせの入口 | 顧客の契約相手 | 本記事での整理 |
|---|---|---|
自社サイトやGoogleマップ | 自社 | 自社サイトや地図を入口とする直請け |
関連事業者や過去の顧客からの紹介 | 自社 | 紹介経由の直請け |
他社が受注した現場の作業依頼 | 元請けの会社 | 他社から請ける仕事 |
この区分は、受注体制と採算を整理するためのものです。紹介サービスなどを利用する場合も、名前だけで分類せず、契約上の相手と自社の担当範囲を確認してください。記録には「流入元」と「契約相手」の欄を別々に設けると、紹介経由の直接契約を見落とさずに数えられます。
自社で引き受ける受注業務

直請けを増やす前に、現場作業以外の担当を決めます。他社が顧客窓口となる仕事でその会社が担っていた受付、見積もりの説明、契約、請求、作業後の相談を、自社では誰が引き受けるのかを整理しましょう。
一人がすべて担当する場合も、次の流れを確認しておくと、現場と受付が重なる場面を想定できます。
- 相談を受け、地域、作業内容、希望時期を確認する
- 必要な現地確認を手配し、作業範囲と料金を見積もる
- 見積内容と契約条件を説明し、依頼の了承を確認する
- 作業の手配と完了確認を行い、請求する
- 作業後の問い合わせを受け、確認と回答を担当する
見積もりの段階では、総額だけでなく、具体的な作業、追加料金が発生する条件、キャンセル料金を明確にします。国民生活センターの不用品回収に関する注意喚起でも、利用者に対して作業内容や料金、追加料金、キャンセル料の確認を勧めています。自社から説明できるように、見積書と受付時の案内をそろえましょう。
受けたい案件と受付の分担
最初は、既存の現場を続けながら対応できる地域と作業に絞ります。希望する売上額だけで対象を決めず、移動にかかる時間、必要な人数、見積もりに行ける日、実際に作業できる日を照合してください。
対象を決めたら、電話やフォームを誰が確認し、いつ返答するかも決めます。現場中に電話へ出られないなら、折り返す担当と時間帯を用意し、利用者へ案内できる受付方法にします。すぐに返答できる体制がない段階で、即時対応を約束する必要はありません。
受付用の記録には、相談者が希望する地域と内容、希望時期、次の連絡予定を残します。担当者が代わっても、何を聞いてどこまで回答したかが分かる形にしてください。対応範囲外の相談をどう案内するかも決めておくと、案件ごとに判断が変わるのを防ぎやすくなります。
作業範囲と廃棄物の回収体制
自社が顧客と契約することと、自社ですべての作業を行うことは同じではありません。片付けや清掃を自社が担当し、廃棄物の回収を別の事業者が担当する計画なら、その分担を先に確認します。
家庭の廃棄物の回収について、環境省の案内では、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要で、産業廃棄物処理業や古物商の許可では回収できないと説明しています。直請けとして契約したことだけを理由に、家庭ごみを自由に収集できるわけではありません。対象地域の市区町村へ確認し、必要な許可・委託と地域のルールに合う回収体制を用意してください。
回収を別の事業者に依頼する場合は、回収対象、日程、費用を確認したうえで、顧客への見積書や請求を誰が行うかも決めます。自社の見積もりに含める作業と、別の事業者との契約や支払いが必要な作業を、顧客に説明できる状態にしておきましょう。
ホームページで一括対応を案内するなら、実際の分担と矛盾しない表現にします。まだ手配できていない回収や作業を、集客のために対応可能として掲載しないことが前提です。
直接相談を受けるページ
受ける案件と分担が決まったら、その内容を自社のサービスページへ反映します。自社を初めて知った人が、相談できる内容、料金の確かめ方、契約までの手順、連絡先を確認できるページにしましょう。
掲載前に、次の内容を自社の受付・見積もり資料と照合します。
- 対応地域と、引き受ける作業の範囲
- 掲載料金に含まれる作業と、個別に見積もる条件
- 相談後の現地確認、見積提示、依頼の了承までの流れ
- 追加料金やキャンセルについて確認する方法
- 契約する会社の情報と、直接連絡できる窓口
料金の目安を載せる場合も、間取りなどの条件だけで金額が確定するように見せず、自社が何を確認して見積もるのかを説明します。電話やフォームでは、担当者がこの案内に沿って返答できるようにしておきます。
他社の紹介ページに載っていた説明を使う場合は、自社の現在の提供内容に合うかを確認してください。また、他社の受注現場で撮った写真を、自社が顧客と直接契約した事例のように掲載しないようにします。写真や文章を自社サイトへ利用できるか、関係者の許可と掲載できる範囲を確認してから使いましょう。
直接契約につながる獲得経路
最初に試す経路は、自社が準備できていて、顧客との接点を作れるものを一つ選びます。複数の手段を一度に増やすと、問い合わせ後の対応まで確認する負担も増えます。入口を増やすことより、そこから自社への相談と契約につながる流れを確かめましょう。
たとえば、地域とサービスの情報を自社サイトへ掲載できているなら、地域検索やGoogleマップの情報を整える方法が候補になります。すでに関連事業者や過去の顧客との接点があるなら、自社窓口を案内してもらう方法を試せます。どちらも、自社へ連絡した人に対応できる受付体制が必要です。
地域検索とGoogleマップ
地域の清掃業者を探す人へ向けて、対応地域と作業内容が分かるページを用意します。地域名を並べるだけでなく、その地域で自社が受け付ける作業、見積もりの手順、連絡先を示してください。
Googleマップの情報と自社ページでは、対応地域、連絡先、受付時間などの案内をそろえます。地図で自社を見つけた人がサイトへ進んだとき、同じ条件で相談できると分かるようにするためです。
拠点へ顧客を迎えない事業形態なら、Googleビジネスプロフィールの非店舗型ビジネスの条件を確認します。Googleの公式案内では、拠点で商品やサービスを提供しない事業者は、住所を表示せずサービス提供地域を掲載できるとしています。実際には来店対応をしていない場所を、来店できる窓口として案内しないようにしてください。
情報を整えたことだけで検索順位や受注が保証されるわけではありません。問い合わせ時に知った経路を聞き、地域検索や地図経由でどんな相談を受け、自社と直接契約したかを記録して確認します。
関連事業者や顧客からの紹介
自社へ直接相談を紹介してもらうときは、紹介元から本人へ自社窓口を案内してもらう方法を決めます。対応地域と作業内容、問い合わせ先が載ったページを渡せば、紹介元も案内する内容を確認できます。
そのうえで、誰が契約するのかを明確にします。紹介元が顧客と契約し、自社は現場だけを担当するのか、紹介された本人と自社が契約するのかによって、見積もりの提出先や請求先が変わります。相談の入口が紹介であっても、本人と自社が直接契約するなら、本記事で扱う直請けとして記録できます。
氏名、連絡先、室内の写真などを紹介元から受け取る場合は、本人が連絡や情報共有を了承しているか確認してください。紹介元に見積もりや作業結果を報告する必要がある場合も、何を共有するのかを本人と紹介元へ確認しておきます。
既存の元請け会社の顧客へ、自社から直接営業することは、新しい紹介元との関係づくりとは区別します。これまでの契約条件や顧客情報の扱いを確認し、元請けとの合意が必要なことを無断で進めないようにしてください。
直請け案件の採算
直請けの採算は、受注額から現場作業の費用だけを引いて判断せず、集客と受注対応にかかった負担も含めて確認します。直請けで紹介料などの負担がない場合でも、自社で受付、訪問見積もり、請求、作業後の相談を担当するなら、その時間と費用を計算に入れます。
比較には、次のような残額を使えます。
> 受注額 − 現場作業の費用 − 集客の費用 − 受付・見積もり・請求・作業後対応の費用
ここでいう現場作業の費用には、自社の作業時間に対応する人件費、車両や資材、手配した回収作業などを含め、比較する案件で同じ範囲を使います。受付などを担当する人の時間も、現場作業とは分けて集計します。追加の給与支払いがなくても、その時間を費用ゼロとして比較すると社内負担を見落とすためです。同じ人件費や作業時間を、現場作業と受付の両方へ重ねて計上しないようにしてください。
次は、同じ現場作業を行う案件を比べた仮定の計算です。業界相場や実績を示す数値ではありません。
比較項目 | 直請けの場合 | 他社から現場を請ける場合 |
|---|---|---|
自社の受注額 | 20万円 | 14万円 |
現場作業の費用 | 10万円 | 10万円 |
自社が負担する集客費 | 3万円 | 0円 |
受付・見積もり・請求・作業後対応の費用 | 4万円 | 5,000円 |
上記を差し引いた残額 | 3万円 | 3万5,000円 |
この仮定では、直請けの受注額は高くても、差し引いた残額は少なくなります。実際にはそれぞれの費用を自社の記録で置き換え、作業の量、移動距離、必要人数などが近い案件同士で比べてください。この残額は比較用であり、会社全体の固定費なども含めた最終利益とは分けて扱います。
集客費や訪問見積もりの費用には、契約に至らなかった相談の分も含めます。直接契約できた案件がある場合は、試行期間の集客費と受注前の対応費を集計し、直接契約の件数で割ると、受注一件を得るまでにどれだけ費用をかけたかが分かります。契約がなければ一件あたりの額は出せないため、支出総額と相談・見積もりの件数を残します。契約できた案件だけの対応時間を数えると、受注までの負担が少なく見えてしまいます。
小さく試す範囲と拡大条件

まずは、自社が直接契約する案件を追加できる範囲で試します。対象地域と作業、受付・見積もりの担当、集客への支出上限、結果を確認する日を決め、サービスページと相談窓口を整えてから選んだ経路で案内しましょう。
確認日には、問い合わせから作業後までを同じ案件の記録で追います。件数だけを合計するのではなく、どこで次の段階へ進めなかったかと、その理由を確認してください。
- 自社が受けたい地域・作業の相談だったか
- 受付を完了し、必要な見積もりや現地確認へ進めたか
- 顧客と自社が直接契約したか
- 集客と受注対応の費用を含めて、どれだけ残ったか
- 予定した人数と日程で作業を完了できたか
- 作業後の確認や相談に対応できたか
対象外の問い合わせが多いなら、案内する地域や作業を見直します。受付が追いつかないなら、集客を広げる前に担当と折り返し方法を整えます。契約は取れても費用や対応時間が想定を超えているなら、見積もり方法と受ける案件の条件を確認します。
必要な対応を終えられ、費用を含めた残額も自社の基準に合うと確認できた段階で、対象地域や案内する経路を少しずつ広げます。直接契約が一件取れたことだけで、同じ採算と体制で件数を増やせると判断しないようにしてください。
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