ミツモア経由で遺品整理の依頼を受けるとき、確認したい費用は掲載料だけではありません。応募や成約に伴う費用、自社の返信・ヒアリング・現地見積もりの時間、移動費、作業原価まで含めて初めて、受注1件が採算に合うかを判断できます。
この記事は、ミツモアの利用を検討中、または利用中の遺品整理会社の経営者・営業責任者を対象にしています。公式公開情報で確認できる仕組みと、自社の管理画面・契約資料で確認すべき条件、自社実績から決める基準を分け、案件別記録表、計算式、対応可否表、返信テンプレート、継続判断表まで示します。
結論から言えば、ミツモアを続けるかどうかは問い合わせ件数や受注件数だけでは決められません。同じ期間に受けた全案件について、プラットフォームへ支払う費用、自社対応工数、移動、失注理由、受注後の粗利を記録し、他の集客経路と同じ定義で比較する必要があります。
ミツモア利用前に確認する課金と案件条件
ミツモアの公式料金ガイドは、登録料・月額利用料・掲載料を0円と説明しています。一方で、費用が発生する時点は成約課金型、応募課金型、ハイブリッド型で異なり、サービスごとの正確な条件は最新の料率表や登録後の画面で確認するよう案内しています。
したがって、一般向け公開ページにある代表的な料率を、そのまま自社の遺品整理案件へ当てはめることはできません。利用開始前と条件変更時に、管理画面または契約資料で次の項目を確認し、確認日と資料名を残します。
確認項目 | 確認する内容 | 記録欄 |
|---|---|---|
課金モデル | 成約時、応募時、または両方のどこで費用が発生するか | 自社画面の表示を記入 |
応募費用 | 自動応募と手動応募で費用が異なるか、ポイントを使うか | 金額・ポイント・確認日 |
成約手数料 | 遺品整理・生前整理に適用される料率、最低料金、計算対象 | 料率・最低額・対象金額 |
決済と振込 | 決済方法ごとの費用、振込手数料、入金時期 | 条件と入金予定日 |
キャンセル | 事業者都合・依頼者都合の扱い、申請期限、必要な記録 | 申請方法・期限 |
返金・ポイント返還 | 返金または返還の対象、対象外、申請方法 | 条件・窓口 |
応募条件 | 商圏、希望日、案件条件、自動応募設定 | 現在の設定 |
登録条件 | 必要書類、許認可、再確認の時期 | 提出状況・更新日 |
公式の仕組み案内では、条件に合う依頼が事業者へ届き、1つの依頼に応募できるプロは最大5社と説明されています。これは競合数の上限を示す仕組みであり、自社の受注率や利益を保証する数字ではありません。案件ごとに何社が実際に応募したか、依頼者が何を比較したかは、自社で確認できた範囲だけを記録します。
公式登録ガイドには、不用品回収・遺品整理・生前整理の必要書類として古物商許可証が例示されています。ただし、画面の案内に従うよう注意書きがあります。提出書類や審査条件は更新される可能性があるため、公開記事を読んだ時点だけで準備完了と判断せず、自社アカウントの表示を確認してください。
相見積もり対応にかかる工数と負担
相見積もり案件では、受注しなかった案件にも対応時間が発生します。通知を確認する数分だけではなく、写真の確認、初回返信、追加質問、概算見積もり、電話、現地訪問、社内相談、見積書作成、追客までを含めます。
対応工程ごとの時間記録
時間は担当者の感覚でまとめず、工程ごとに開始・終了を記録します。複数人で対応した場合は、それぞれの時間を合計します。代表者が15分、事務担当が20分、現場責任者が25分を使った案件なら、自社対応工数は合計60分です。
工程 | 記録する時間 | 負担として見落としやすい項目 |
|---|---|---|
受付・案件確認 | 通知確認から対応可否の一次判断まで | 対応地域、希望日、物量の確認 |
初回返信 | 文章作成と送信 | 定型文の調整、担当者確認 |
ヒアリング | チャット・電話・写真確認 | 不足情報の往復、特殊品の確認 |
概算見積もり | 金額算出と説明文作成 | 車両、人員、処分・買取の検討 |
現地見積もり | 往復移動、現地確認、説明 | 駐車、鍵の受け渡し、社内移動 |
見積書・追客 | 書類作成、再質問、結果確認 | 失注理由の回収、再見積もり |
対応工数の費用は、担当者ごとの社内時間単価を使って計算します。時間単価には、給与だけでなく会社が負担する人件費や間接費をどこまで含めるかを先に決めます。同じ担当者・同じ計算方法を継続して使うことが、経路比較では大切です。
対応工数費 = 担当者ごとの対応時間 × 社内時間単価の合計
現地見積もりの移動時間を対応工数に含めたうえで、燃料、高速道路、駐車場などの実費も別に記録します。無料見積もりでも、自社の費用が0円になるわけではありません。
受注1件あたりの獲得費用と粗利の計算
採算確認では、案件単位と経路単位の両方を計算します。案件単位では1件の仕事が利益を残したかを見ます。経路単位では、失注案件に使った費用と工数も含めて、ミツモア経由全体が採算に合うかを見ます。
案件別記録表
次の項目を表計算ソフトや案件管理ツールに1行ずつ記録します。金額が未確定なら空欄のままにし、0円と確定した場合だけ0を入力します。
項目 | 記録内容 |
|---|---|
案件ID・受付日 | 管理画面の案件識別子と最初に受けた日 |
商圏 | 市区町村、片道距離、片道時間 |
案件規模 | 間取り、概算物量、階段、車両、人員 |
希望日 | 作業希望日、見積希望日、緊急度 |
情報充足 | 写真、住所、物量、搬出条件、残す物の有無 |
課金額・手数料 | 応募時費用、成約手数料、決済・振込関連費用 |
自社対応工数 | 受付、返信、電話、見積、追客の合計時間と費用 |
現地見積もり | 現地時間、往復移動時間、交通費 |
結果 | 受注、失注、辞退、保留、連絡不通 |
売上 | 顧客へ請求した確定額 |
直接原価 | 人件費、車両、処分、外注、資材、交通など |
粗利 | 売上から直接原価と経路費用を引いた額 |
失注理由 | 価格、日程、商圏、情報不足、比較継続など確認できた理由 |
4つの計算式
1件獲得費用 = 対象期間の経路費用合計 ÷ 同期間の受注件数
経路費用合計には、プラットフォームへ支払った費用、失注を含む自社対応工数費、現地見積もりの交通費を含めます。受注件数が0件なら割り算をせず、「算出不能・受注0件」と記録します。費用を0円に置き換えないでください。
受注率 = 受注件数 ÷ 対応した有効案件数 × 100
有効案件の定義を先に決めます。通知された全件、返信した案件、現地見積もりまで進んだ案件を混ぜると、期間比較ができません。分母が0件なら受注率は算出不能です。連絡不通や重複依頼を除外する場合は、除外理由と件数を残します。
案件粗利 = 売上 − 直接原価 − その案件のプラットフォーム費用 − 受注後も含む個別対応工数費
自社で通常使っている粗利の定義がある場合は、その定義を優先し、経路費用をどの段階で差し引くかを統一します。買取額や処分費の扱いも会社ごとに異なるため、同じ勘定項目で記録します。
経路別粗利 = 対象期間の案件粗利合計 − 同期間の失注案件対応費用
この式により、受注案件だけを見たときには隠れる失注対応の負担を含められます。経路別粗利を総対応時間で割れば、経路ごとの1時間あたり粗利も比較できます。
説明用の仮定による計算例
次は計算方法を示すための仮定です。ミツモアの実料金、平均値、標準的な受注率、成果を示すものではありません。
ある1か月に有効案件10件へ対応し、2件を受注したと仮定します。プラットフォーム費用が合計60,000円、10件の受注前対応工数費が合計50,000円、現地見積もり交通費が合計10,000円なら、経路費用合計は120,000円です。1件獲得費用は60,000円、受注率は20%です。
受注2件の売上合計が500,000円、直接原価と受注後の個別対応工数費が合計300,000円だった場合、受注案件から残る額は200,000円です。ここから受注前を含む経路費用120,000円を差し引くと、説明上の経路別粗利は80,000円です。実務では二重計上を避けるため、どの工数を直接原価と経路費用のどちらへ含めたかを列で明示します。
対応する案件と見送る案件の判断基準
応募できる案件すべてへ同じように対応すると、返信速度は上がっても採算が崩れる場合があります。商圏、日程、物量、必要な体制、情報量、見積もり工数を確認し、自社の対応可否基準を作ります。
判断軸 | 対応する基準の記入欄 | 見送る・追加確認する条件の記入欄 |
|---|---|---|
商圏 | 片道__km、__分以内 | 距離超過、交通費が見込額を上回る |
日程 | 必要人数と車両を確保できる | 繁忙日、鍵受取や立会条件が未確定 |
案件規模 | 自社車両・人員で対応可能 | 物量や階段条件が不明、設備が不足 |
許可・提携 | 自社または確認済みの連携先で対応可能 | 必要な許可・委託先を確認できない |
写真・情報 | 物量、搬出経路、残置物を確認できる | 写真や住所、作業範囲が不足 |
見積工数 | 概算または現地見積もりで判断可能 | 遠距離訪問後も条件確定が難しい |
採算 | 最低粗利額・率、時間あたり粗利を満たす | 必要な値引き後に基準を下回る |
遺品整理では、処分する物、残す物、探す物、買取査定の対象、搬出条件を見積もり前に分ける必要があります。国民生活センターも、作業内容と費用、追加料金の条件を見積もり段階で具体的に確認するよう案内しています。写真だけで判断できない条件が残るなら、概算金額の適用範囲を伝え、現地確認後に確定する項目を明示します。
「価格が低いから見送る」と一行で終えず、商圏外、日程不一致、情報不足、必要体制不足、最低粗利未達などに分けます。失注理由と辞退理由を同じ列に入れないことで、営業改善と案件選定のどちらを見直すべきか分かります。
返信・ヒアリング・現地見積もりの効率化
効率化の目的は、質問を減らすことではなく、採算判断に必要な情報を早くそろえることです。すべてを定型文にすると個別条件を見落とすため、固定部分と案件ごとの確認部分を分けます。
初回返信テンプレート
以下は自社条件へ置き換えて使うテンプレートです。
「ご依頼内容を確認しました。正確な見積もりのため、作業場所の市区町村、間取り、主な家財の量、搬出経路、残す物・探す物、希望日、写真の有無を確認させてください。いただいた情報を基に、概算で案内できる範囲と、現地確認が必要な項目を分けてご連絡します。」
追加質問は、一度に答えられる順へまとめます。
- 作業場所の市区町村と建物種別
- 間取りと主な部屋ごとの物量
- 階段、エレベーター、駐車位置、搬出距離
- 残す物、探す物、買取査定を希望する物
- 冷蔵庫、金庫、消火器など個別確認が必要な物
- 立会い、鍵の受け渡し、作業希望日
- 写真で確認できない箇所と現地見積もりの希望
ミツモア内での連絡方法や外部連絡先の扱いは、最新の規約と管理画面に従います。このテンプレートには、連絡先の抜き取りやプラットフォーム外への誘導を含めません。実際の運用前に、自社へ適用される連絡ルールを確認してください。
現地見積もりの標準手順
現地見積もりは、訪問前、現地、帰社後の3段階に分けます。
- 訪問前に住所、駐車、立会者、写真、作業範囲を確認する
- 現地で残す物、探す物、処分候補、買取候補を区分する
- 人員、車両、搬出、養生、作業時間、外部連携の必要性を記録する
- 追加費用が発生し得る条件と、見積もりに含まれない作業を説明する
- 帰社後に見積送付時刻、総対応時間、受注・失注結果を記録する
訪問前に対応可否が判断できない案件だけを現地見積もりへ進めると、移動負担を抑えられます。オンラインだけで金額を確定できない場合は、無理に確定額を出さず、概算の前提と現地で確認する項目を示します。
利用継続・縮小・停止を決める評価表
評価期間は、案件数と季節変動を見ながら自社で決めます。比較するときは、ミツモア、自社サイト、紹介、広告などの期間と費用範囲をそろえます。受注件数が少ない期間は率が大きく動くため、件数と率を併記します。
評価項目 | 継続を検討する状態 | 縮小を検討する状態 | 停止・再設計を検討する状態 |
|---|---|---|---|
経路別粗利 | 自社基準を継続して上回る | 月ごとの振れが大きい | 複数期間で基準を下回る |
1件獲得費用 | 粗利に対して許容範囲 | 商圏や規模で偏りがある | 受注0件で算出不能が続く |
対応工数 | 営業体制内で処理できる | 返信・見積もりが繁忙を圧迫 | 本業の作業や既存顧客対応を阻害 |
移動負担 | 商圏基準内に収まる | 一部地域で交通費が高い | 見積もり移動が粗利を圧迫 |
失注理由 | 改善可能な理由を把握できる | 価格・日程の偏りがある | 情報不足や連絡不通が続き判断不能 |
問い合わせ品質 | 必要情報がそろう案件が多い | 追加質問の往復が多い | 自社の対応領域外が多い |
継続は「件数が増えた」、停止は「相見積もりが多い」といった印象だけで決めません。商圏設定を狭める、自動応募条件を変える、対応する案件規模を限定するなど、原因に対応した変更を1つ実施し、変更前後を同じ期間と定義で比較します。
課金モデル、料率、キャンセル、返金、応募条件が変わった場合は、過去と同じ費用構造ではありません。条件変更日を境に集計期間を分け、最新条件を管理画面・契約資料で再確認します。
ポータルと自社サイト・紹介経路の並行管理
ミツモアを利用していても、自社サイトや紹介経路の記録を止める必要はありません。各経路で受付日、初回返信、見積もり、受注、売上、直接原価、対応工数、失注理由を同じ列へそろえると、経路ごとの違いを比較できます。
経路 | 経路費用に含める項目 | あわせて見る項目 |
|---|---|---|
ミツモア | 応募・成約・決済等の確認済み費用、対応工数、移動費 | 案件条件、応募状況、失注理由 |
自社サイト | 制作・保守・広告・計測費の配分、対応工数 | 検索ページ、フォーム、電話、受注 |
紹介 | 紹介料、訪問・報告工数、関係維持の費用 | 紹介元、案件種別、再紹介 |
その他ポータル | 掲載・紹介・成約費用、対応工数 | 課金時点、商圏、案件品質 |
自社サイトの費用は1件へ直接ひも付かない場合があります。その場合は、月額費用を期間内の有効問い合わせ数や受注件数で配分するなど、社内ルールを決めます。分母が0の期間は算出不能とし、無理に0円の獲得費用を作りません。
自社サイトで先に整えたいのは、対応地域、料金の考え方、見積もりに含む作業、追加確認が必要な条件、事例、担当体制、相談後の流れです。遺品整理会社向けのサイト全体の役割は、WAKURU株式会社の遺品整理会社のWeb集客・ホームページ制作でも確認できます。
最後に、月次または自社で定めた評価日に、次の順で判断します。
- 各経路の欠損項目と分母0を確認する
- 受注率、1件獲得費用、案件粗利、経路別粗利を計算する
- 対応工数、移動、失注理由、問い合わせ品質を確認する
- 継続、条件変更、縮小、停止のどれかを決める
- 次回評価日と、変更する条件を1つ記録する
この記録があれば、ミツモアを一方的に良い・悪いと評価せず、自社の商圏、体制、原価、受注実績に基づいて利用継続を判断できます。公開情報だけでは確定できない費用や応募条件は、判断のたびに最新の管理画面・契約資料で確認してください。



