外壁塗装のリスティング広告で費用対効果が悪い原因と改善の順番

外壁塗装広告費ドブに捨てるは価格以外で選ばれる判断材料から見直す

広告費を使っているのに受注が増えない。問い合わせは来るものの、自社で扱わない工事や、対応地域外での施工の相談が多い。こうした状況を見直す際は、クリック単価や問い合わせ件数だけで増額・減額を決めず、広告経由の相談が現地調査や見積もりを経て受注に至ったかを確かめます。

この記事は、すでにリスティング広告を運用している外壁塗装会社の経営者・担当者に向けたものです。まず広告上の成果と実際の相談を区別し、同じ時期に獲得した相談を現地調査・見積もり・受注まで追います。次に受注1件の獲得費用を自社の許容額と比べ、配信対象、案内先ページ、受付、見積もりのどこを直すか判断しましょう。

以下では、その照合方法と原因別の改善、変更後の予算判断を説明します。配信設定の仕様はGoogle検索広告を対象とし、金額や件数の例は計算を示すための仮定として使います。

広告費の診断に必要な記録

広告費を見直すときは、集計対象の広告費と、そこから得た相談、現地調査、見積もり、受注の結果を対応させます。当月の広告費を当月に受注した件数で割るだけでは、以前の相談や紹介による受注まで混ざるおそれがあります。広告経由の相談を特定し、その後の進捗を同じ記録で追いましょう。

管理画面の成果と実際の相談

まず、広告管理画面で何をコンバージョン、つまり計測上の成果に設定しているかを調べます。Google広告では、ボタンやリンクのクリックなどを計測対象にできます。成果の名称が「問い合わせ」でも、フォームの送信完了を測っているのか、電話ボタンのクリックを測っているのかで意味が違います。

特に電話は、タップ、通話、工事の相談を分けてください。Googleの通話計測の説明では、モバイルサイトの電話リンクのクリック計測は、通話自体を測るものではありません。実通話を測る方式でも、設定した最小通話時間に達した電話を成果とするものがあり、その件数だけで外壁塗装の相談や受注の数は分かりません。

営業側では、同じ工事の再連絡を一つの相談として追えるように、相談ごとに受付IDを付けます。そのうえで、自社が対応する施工地域・工事内容の相談を有効相談として数える、といった社内の定義を決めましょう。再連絡を新しい相談として重複計上せず、営業電話や対応外の依頼はその理由を残します。相見積もり中というだけで無効にせず、自社が対応できる工事の相談かどうかで判断してください。

受付月ごとの進捗と未決案件

受付IDには、分かる範囲の流入元、施工先の住所、工事内容、受付日、現地調査日、見積もり提出日、受注日を記録します。進まなかった案件は、連絡不能、辞退、失注、検討中などの状態と、確認できた理由を追記してください。

例えば、4月に広告経由で受け付けた相談は、5月に受注しても4月受付分に追記します。月別の集計では、どの期間の広告費とどの受付分を対応させたかを明記し、比較する月も同じ基準で扱います。流入元が分からない相談は不明として残し、広告経由だったと推測して埋めないようにしてください。

直近の相談が検討中なら、受注がまだないことを失注と同じに扱いません。集計日と未決件数を併記し、後日結果が分かった時点で更新します。受付月によって追跡できた長さが異なることにも注意してください。

広告側へ契約結果を戻す仕組みとしては、Google広告のオフラインコンバージョンもあります。広告クリックの識別子であるGCLIDを見込み客情報と保存し、契約成立などの成果が出た際に、そのIDと成果の種類・発生日時をGoogle広告へ返す方式があります。営業台帳の作成と広告への取り込みは別の作業なので、台帳を作っただけで自動連携されるとは考えず、計測担当と設計します。

受注から逆算する広告費の許容額

家の模型、紙幣と電卓で工事の採算を考えるイメージ

記録をそろえたら、問い合わせを得る費用と、受注を得る費用を別々に計算します。さらに、受注1件の粗利から他の費用と残したい利益を確保し、広告経由の受注獲得に使える額を決めましょう。売上金額の大きさだけでは、広告費を回収できているか判断できません。

媒体費と総獲得費用

広告媒体へ支払う媒体費だけの集計と、運用手数料や計測費などを含めた総獲得費用の集計を分けます。制作費を複数月に配分する場合も、含める範囲と配分方法を決め、比較の途中で変えないようにします。

次は、ある受付月の広告経由の相談を、すべての案件の結果が確定するまで追った仮定例です。その月の媒体費20万円、運用手数料等5万円、合計25万円に対して、全相談25件、有効相談10件、現地調査6件、見積もり5件、受注2件だったとします。業界の相場、推奨予算、WAKURU株式会社の実績を示す数字ではありません。

計算するもの

費用と件数の対応

この例の結果

媒体費だけの問い合わせ単価

20万円 ÷ 全相談25件

8,000円

全相談1件の総獲得費用

25万円 ÷ 全相談25件

1万円

有効相談1件の総獲得費用

25万円 ÷ 有効相談10件

2万5,000円

受注1件の総獲得費用

25万円 ÷ 受注2件

12万5,000円

媒体費だけの問い合わせ単価8,000円と、総費用で見た受注獲得費12万5,000円は、含む費用も成果の段階も違います。問い合わせ単価を比べるときは媒体費のみか総費用かをそろえ、そのうえで有効相談や受注までの結果を確認してください。代理店の報告と照合するときも、費用の範囲と分母の定義を合わせます。

受注が0件なら受注1件の獲得費用は計算できません。0円と記入せず、使った費用、失注・辞退・未決の件数を示します。

工事粗利から残す費用と利益

先ほどの例で、受注1件あたりの粗利が30万円だと仮定します。ここでの粗利は工事原価を差し引き、広告などの獲得費用をまだ引いていない金額です。

その30万円のうち、営業や現地調査の費用、固定費への充当、残したい利益として合計20万円を確保する方針なら、媒体費と運用手数料等に使える額は受注1件あたり10万円です。先ほどの総獲得費用12万5,000円は、この社内の許容額を2万5,000円上回ります。

さらに有効相談10件から2件を受注する条件が続くと仮定すれば、有効相談1件あたりの媒体費と運用手数料等の許容額は、10万円 × 2件 ÷ 10件で2万円です。このように、受注の許容額と受注に至る割合から逆算します。数件の結果が今後も続くとは限らないため、この例の割合や金額をそのまま目標にしないでください。

工事の種類によって粗利が違う場合は分けて計算します。営業費や現地調査費を総獲得費用に含めるなら、確保する20万円の側にも同じ費用を入れないようにし、二重計上を避けましょう。

段階別の原因と改善箇所

採算を確認したら、相談がどの段階で止まっているかを調べます。先ほどの仮定例の進捗は、全相談25件、有効相談10件、現地調査6件、見積もり5件、受注2件でした。自社の過去の広告経由の相談とも比較し、地域や工事内容、追跡した期間の違いを確認してください。

件数や割合の変化は調査の手掛かりです。それだけで「広告が悪い」「営業が悪い」と原因を確定せず、次のように受付記録と配信内容を照合します。

対象外相談が多い場合の検索語句と地域

最初に、登録キーワードの一覧だけで判断せず、検索語句レポートの費用と、営業側に残った相談内容を確認できる範囲で照合します。検索語句は利用者が実際に入力した言葉です。検索語句レポートで確認できますが、プライバシー基準などにより表示されない語句もあり、すべての検索内容が分かるわけではありません。

例えば、戸建ての塗装工事を受け付ける会社で、塗装の求人、DIY用品、扱わない工事の相談につながる検索があれば、広告の表示対象から外す除外キーワードの候補を検討します。これは確認対象の例であり、特定の語を全社共通で除外するという意味ではありません。「無料」の除外を検討するなら、自社が受け付けたい無料見積もりの検索まで対象外にならないか確認します。Googleも、除外キーワードが多すぎると広告の表示対象者が減る可能性を示しています。

地域は、相談した人の居住地と施工先の住所を分けて記録します。例えば遠方に住む所有者が、商圏内にある実家の塗装を依頼したい場面も想定できます。遠方の相談を一律に無効とする前に、施工先が対応地域外なのかを確かめてください。

Googleの地域ターゲティングでは、「所在地やインタレスト」は地域内の利用者に加え、その地域へ関心を示す利用者も対象になり得ます。また、地域判定に100%の精度が保証されるわけではありません。所在地に絞るか関心も含めるかは、有効相談の内容を見て判断し、設定変更後も施工先の地域で結果を追います。

クリック後に相談がない場合の案内先

対応できる工事に関する検索からクリックされているなら、広告文と案内先ページを照合します。ここでいう案内先は、広告を押した後に開くページ、いわゆるLPです。

特定の市や工事を広告で案内しているのに、LPでは対応可否が分からない、といった食い違いがないかを確認してください。料金を掲げるなら、どの建物・施工面積・工事範囲に適用する金額か、何が含まれ、どの条件で別途見積もりになるかを示します。自社の施工事例を使う場合も、写真だけでなく実際の施工範囲や相談内容が分かる説明を添えましょう。受付後の連絡から現地調査、見積もりまでの流れも、実際の対応に合わせて案内します。

続いて、スマートフォンで広告の案内先から電話とフォームを操作します。電話の発信先、入力エラー、送信完了、社内への通知まで確認してください。送信完了画面が出ても受付担当へ届かないなら、広告費の増額より受信経路の修復が先です。

料金条件や対応範囲の不足、相談方法の分かりにくさ、操作上の不具合があれば修正します。事例やボタンを増やせば改善すると決めつけず、広告で案内した内容と、相談を受け付けるまでの動作を点検しましょう。

相談から現地調査までの受付対応

対応できる相談が入っているのに現地調査へ進まない場合は、連絡と日程調整を調べます。最初の連絡が取れたか、折り返し希望を確認できたか、調査希望日と自社の空きが合ったかを受付IDごとに記録します。

連絡がつかない場合は入力された連絡先や折り返し方法を、希望日が合わない場合は受付時の案内や調査枠を見直す候補にします。工事内容や希望する着工時期が合わない相談が続くなら、広告とLPで伝える受け入れ条件も確認しましょう。

同じ「現地調査に進まない」でも、配信対象のずれか、受付後の連絡や日程の問題かで修正対象が違います。理由が不明な案件はそのまま不明とし、広告の質が低いという一つの説明へまとめないようにします。

現地調査後の見積もり提出

現地調査が済んでも見積もりを提出していない案件は、提出後の検討中とは分けて確認します。受付IDごとに、見積もりの作成担当者、提出予定日、提出までに残っている確認事項を記録してください。

見積もりが止まっている理由を、自社で進める作業と依頼者に確認する事項に分けます。例えば、施工面積や塗料の仕様をまだ確認できていない場合は、誰が確認するかを決めます。数量や仕様は決まっていて、積算や社内での内容確認が残っている場合は、作成・確認の担当者と期限を決めましょう。依頼者の希望変更や返答待ちがある場合も、何の回答を待っているかを具体的に記録します。

依頼者の回答が必要なら、見積もりに必要な確認内容を伝え、返答を待つ間に社内で進められる作業を整理します。提出予定が変わるときは、新しい予定と、提出までに確認が必要な内容を依頼者へ連絡してください。次に連絡する日と担当者も受付IDに残しましょう。

見積もり後の検討と失注理由

見積もりを提出した後は、まだ検討中なのか、辞退・失注が確定したのかを分けます。失注した場合も、確認できた理由だけを記録しましょう。

価格が合わなかった場合は、同じ工事範囲で総額に差があったのか、塗料や施工内容などの違いが伝わらなかったのかを確認します。理由が分からないまま値下げすると、採算の基準を崩しかねません。工期の希望に応じられなかった場合は、広告を増やす前に施工枠と案内内容を見直します。

検索語句と相談を照合できる場合でも、語句だけで受注しない原因を決めません。施工地域、工事内容、調査・見積もりの進捗と確認済みの理由を一緒に見て、配信を絞るべきか、営業側の説明や対応を直すべきか判断してください。

設定変更後の検証と予算判断

変更後の相談を分け、未決を別管理しながら受注と許容額、採算と対応余力を確認して予算を判断する手順

改善箇所を決めたら、変更日、変更内容、担当者、追加で使える費用の上限、次に判断する日を記録します。変更後に受け付けた相談を分けて追い、変更前と同じ成果の定義・費用の範囲で比べましょう。

一度に複数の設定やページを変えると、どの変更が結果に関係したか確かめにくくなります。直す原因を一つに絞れる場合は変更範囲も絞り、他に変えた条件があれば記録します。

計測不備への対応と獲得費用の見直し

管理画面の成果と受付が合わない場合は、電話タップと実通話、重複、受付月と受注月の混在を先に点検します。何を計測しているか分からないまま、表示された獲得単価を根拠に増額しないようにします。社内で決めた追加支出の上限を超えそうなら、配信量の制限や一時停止も含めて判断し、その間に実際の送信・着信と記録を照合してください。

計測を確認しても受注獲得費が許容額を上回るなら、前章で原因を確認できた箇所を変更します。未決が多い場合は確定した失注だけでなく、まだ結果が出ていない件数と残り予算を示し、検証を続けられるかを判断しましょう。

オフラインコンバージョンの連携を進めるなら、識別子の保存、受注結果の取り込み、取り込み結果の確認を誰が担当するかまで決めます。Googleの公式案内に従い、収集するデータの情報開示と、適用される法令やポリシーが求める場合の同意も確認してください。個人情報を含む台帳をそのまま運用会社へ渡すことを前提にせず、必要な項目と共有範囲を整理します。

増額を検討できる条件

増額を検討するのは、計測を照合でき、受注の採算が合い、現地調査と施工の余力がある場合です。追加予算の上限と、どの期間に獲得した相談をいつ判断するかを先に決めてください。

判定期間は一律の日数にせず、自社で相談から受注までにかかっている期間に合わせます。受注がまだ少ない、検討中が多いといった場合は、その数値を今後も続く割合として固定しません。判定日に未決件数と使用済み費用を確認し、結果を待つか、上限を理由に制限するかを決めます。

増額後も同じ単価で受注できるとは限りません。増額後に獲得した相談を有効相談、現地調査、見積もり、受注まで追い、変更前と同じ費用の範囲で受注1件の総獲得費用を計算します。自社の許容額に収まるかを改めて確かめましょう。

運用担当へ渡す改善依頼

広告担当との打ち合わせでは、広告レポートと営業側の記録を一緒に使います。まず、費用の範囲と成果の定義、受付月ごとの進捗、許容する受注獲得費、確認できた失注理由、過去の変更履歴をそろえてください。担当者間で個人情報を共有する範囲も確認します。

依頼内容は「問い合わせを増やしてほしい」だけで終えず、止まっている段階と確認したいことを伝えます。例えば「商圏外の施工先の相談が多いので、検索語句と地域設定を照合したい」「有効相談はあるが日程が合わないので、受付方法と広告の案内を確認したい」のように、記録をもとに話します。

外壁塗装のリスティング広告を見直す際は、広告費と、その広告で得た相談の受注結果を対応させ、採算と止まる段階を確かめることが判断の土台です。手元のレポートと受付台帳を並べ、最初に数え方の違いを一つ解消するところから進めましょう。

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