この記事は、LINE公式アカウントの導入を検討している飲食店や、開設したもののクーポンを配るとき以外は使えていない飲食店の店主・店長、運用担当者に向けたものです。
飲食店のLINE集客では、友だち追加後の初回案内を用意し、料理の紹介や特典の配信から、予約などの受付へつなげます。まずは自店で案内する料理と提供時間帯を一つ選び、情報を更新する人と質問へ返信する人を決めましょう。登録数だけを追わず、その案内から実際に来店したか、費用や店の負担に見合うかまで記録します。
本文では、初回案内、配信と特典、予約対応、費用、来店結果の順に説明します。LINEの標準機能でできること、店側で必要な作業、外部サービスとの連携が必要な範囲を分け、自店が続けられる運用を考えていきます。
飲食店のLINE集客の役割
LINEは、友だち追加した人へ、料理や営業日の情報、予約の受付先などを届ける接点として使います。まだ店を知らない人に見つけてもらう方法に加え、店を知った後の継続的な案内をどう行うかも考えましょう。アカウントの開設や友だち追加だけで、来店が増えたとは判断できません。
最初に「平日の昼に提供する定食」「週末の予約で受けられるコース」など、案内したい食事を自店の営業に合わせて決めます。その料理の内容と提供条件を確認する人、配信する人、質問へ返信する人も決めてください。一人が兼ねる場合も、確認する作業は残ります。
標準機能と外部連携の範囲
LINE公式アカウントには、追加時のあいさつメッセージ、リッチメニュー、メッセージ配信、クーポン、ショップカードなどがあります。それぞれを使えることと、店の予約や会計の記録まで自動でつながることは別です。
行いたいこと | 使う方法 | 店で用意・確認すること |
|---|---|---|
追加した人に店を案内する | あいさつメッセージ、リッチメニュー | 現在の料理メニュー、営業日、受付先 |
特典を届ける | クーポン、ショップカード | 利用条件、店員の確認やポイント付与の手順 |
追加後に順番に案内する | ステップ配信 | 追加からの日数、送る内容と有効期間 |
予約を受ける | チャットでの対応、予約ページへのリンク、対応サービスとの連携 | 空席の確認、確定方法、他の受付窓口との照合 |
たとえば「最後に来店してから一定期間たった人へ自動配信したい」なら、来店日を記録し、どの友だちの記録かを結び付ける方法が必要です。標準のステップ配信で起点となる友だち追加日を、最終来店日とみなしてはいけません。POSレジや外部ツールの導入を検討する場合は、どのデータを取り込めるか、何を起点に送れるか、連携にかかる費用を提供元へ確認します。まずは対応できる範囲で記録し、必要な相手へ手動で案内する運用も選べます。
友だち追加と初回の案内

友だち追加の案内と、追加直後に見せる情報を一組で用意します。先に登録だけを勧めると、客は何の情報を受け取れるのか、店員は登録後に何を案内するのかが曖昧になります。
店頭の追加案内
会計時、店内でメニューを案内するときなど、接客を妨げずに声をかけられる場面を選びます。追加用のQRコードを置くなら、自分のスマートフォンで読み取り、店名やアカウントが正しいか確かめてください。SNSやホームページでも友だち追加を案内する場合は、同じアカウントへ進むかを確認します。
次は、季節の料理を案内する架空の店の声かけ例です。
季節の料理と営業日の変更をLINEでお知らせしています。ご希望でしたら、こちらから友だち追加できます。
何を受け取れるかを伝え、登録するかは客に選んでもらいます。登録特典を付ける場合は、その場で使えるのか、次回だけなのか、誰がどの条件で使えるかを先に決めます。店頭では「今日使える」と案内し、クーポンには「次回来店時」と書かれている、といった食い違いを避けましょう。
あいさつメッセージとリッチメニュー
あいさつメッセージは、友だち追加した際に送れるメッセージです。店名、今後届く情報、料理メニューや営業日の確認先、予約を受ける方法を、短く案内します。
たとえば、予約を電話で受ける架空の店なら、次のような構成にできます。店の条件に置き換えて使ってください。
友だち追加ありがとうございます。○○食堂です。季節の料理と営業日の変更をお知らせします。メニューと営業日は、下のメニューからご覧ください。席の予約は、お電話で受け付けています。このトークへ希望を送るだけでは予約は確定しません。
リッチメニューは、トーク画面下部に表示するメニューで、外部サイトや予約ページなどへリンクを設定できます。各項目には「料理のメニュー」「営業日とアクセス」「席の予約」のように、リンク先の内容が分かる名前を付けましょう。予約を受けない店なら、予約の項目を作る必要はありません。
スマートフォンで客と同じ画面を開き、追加後のメッセージと各リンクを試します。現在の料理・価格・営業時間が表示されているか、案内した方法で実際に受付できるかまで確認してください。季節メニューや受付方法を変えたときは、この初回案内も更新対象に含めます。
再来店を促す配信と特典
配信では、客が次にどんな食事をできるかを伝えます。値引きを付けるかどうかより先に、料理の内容、利用できる日時、予約の要否を具体化しましょう。特典は、その食事を案内する目的に合う場合に追加します。
食事を提案する配信例
季節の料理、新しい食材、昼と夜で違うメニューなど、実際に提供する内容を案内の材料にします。「お得です」「ぜひご来店ください」だけでは、何を食べられるか、いつ使えるかが伝わりません。
次は、架空の食堂が平日ランチを案内する文例です。料理、価格、日時はすべて説明用の仮定です。
10月20日〜23日のランチに、きのこの炊き込みご飯と焼き魚の定食をご用意します。1,300円(税込)、11:30〜14:00の提供です。ご予約はお電話で承ります。詳しい料理の内容と営業日は、メニューからご確認ください。
配信前には、料理を提供できる日と時間、価格、受付先が、配信文と店頭の案内で一致しているか確認します。予約なしでも利用できる店なら、その旨と混雑時の確認方法を案内してください。空席を知らせる場合も、確認した日付と時間、最新状況の確認先を添えます。配信時に空いていた席が、客の来店時にも空いているとは限らないためです。
クーポンとショップカードの使い分け
クーポンは、LINE上で作成し、メッセージなどで配布できます。ショップカードは、来店や商品購入などに応じたデジタルのポイントを発行・管理する機能です。
比べる条件 | クーポンを使う案 | ショップカードを使う案 |
|---|---|---|
案内する目的 | 特定の期間や食事を利用するきっかけ | 継続して利用した人への特典 |
先に決める条件 | 対象の料理、日時、使用回数、他の特典と併用できるか | ポイントを付ける条件、特典までのポイント数、有効期限 |
店員の作業 | 提示内容と利用条件を確認し、会計へ反映 | 対象の利用を確認してポイントを付与し、特典の利用を受け付ける |
これは選び方の提案です。両方を同時に始める必要はありません。特定の平日ランチに特典を付けたいなら、まずその利用条件を付けたクーポンを検討できます。繰り返しの利用に応じてポイントを付け、特典を提供する運用を続けられるなら、ショップカードを検討します。
特典の内容だけでなく、客が提示するタイミングと、店員が何を確認するかまで決めます。新しく入ったスタッフにも同じ案内ができるか試しましょう。特典を使った記録は会計とも照合します。クーポンの画面が使用済みになったことだけで、食事の提供や再来店を確認できたと扱わないためです。
配信の間隔とステップ配信
配信頻度は、すべての店に共通する回数で決めず、知らせる内容と運用できる時間から考えます。メニューの変更があるとき、別の料理や時間帯の利用を提案したいときなど、客に伝える理由がある予定を並べてください。内容を確認し、届いた質問へ対応できるかも見ます。
配信する曜日と時刻は、料理の提供日と予約締切から逆算します。予約が必要な食事なら、客が内容を見て、締切までに問い合わせや申し込みができるように配信日を考えます。そのうえで、配信日までに料理・価格・受付条件を確定できるか、配信後に担当者が返信する時間を確保できるかも確認し、まず仮の日時を決めましょう。実施後の記録を見て、次の日時を調整します。
送り先は、案内する料理や特典の利用条件をもとに考えます。ただし、その条件で配信先を選び分けられるかは、実際に使うアカウントの設定で確認が必要です。選び分けができない場合は、全員への配信文に対象の料理や利用日時を明記し、受け取った人が自分も利用できるか判断できるようにします。個別に相談を受けた相手への案内は、確認できている希望や受付状況に合わせて対応しましょう。
標準のステップ配信は、友だち追加後の経過日数などに合わせ、あらかじめ用意したメッセージを自動で送る機能です。追加時には店の案内、その後には別の料理の紹介、と順に伝える用途で検討できます。
ただし、店頭以外で追加した人もいるなら、追加した翌日を来店翌日と決めて「昨日のご来店ありがとうございました」と送る案は合いません。登録日と来店日を分け、確認できている事実に合う文面にします。自動配信と通常の一斉配信が重なったり、期限切れの特典を送ったりしないかも点検してください。
実施後は、配信ごとの反応とブロックの記録、店で確認した利用、返信の負担を見て、内容や間隔を調整します。開封が少ないという理由だけで回数を増やす前に、料理と条件が伝わるか、案内先で受付が止まっていないかを確かめましょう。
予約相談と店内の受付

LINEで予約を受けるなら、希望が届いた段階と、店が席を確保して予約を確定した段階を分けます。自動応答が送られたことは、店が空席を確認したことにはなりません。
チャットで希望を受ける店は、確認する担当者と返信できる時間を決めます。電話や予約サイトも使うなら、各窓口で受けた予約希望と確定済みの予約を、一つの台帳で区別して管理します。空席を確認して席を確保したら、予約日時と人数を客へ伝え、予約が確定したことを案内します。担当者の交代時には、未返信、席の確認中、確定済みを引き継ぎ、変更やキャンセルも台帳へ反映しましょう。
次は、手動で席を確認する架空の店の受付文例です。
ご希望の日時と人数をお知らせください。店で席を確認し、予約確定のご連絡を差し上げます。返信の対応は営業日の15〜17時です。お急ぎの場合はお電話ください。
この時間は例なので、実際に守れる時間に置き換えます。応答メッセージのキーワード応答は、設定したキーワードと完全一致するメッセージに返信する仕組みです。「予約」という語への返信を設定しても、どんな自由文にも対応して予約を確定する仕組みにはなりません。
すでに予約サービスを使っているなら、その受付先へリンクで案内する方法もあります。公式の「LINEで予約」も、予約サービスとの連携完了が利用条件です。導入前に対応サービスと費用、受付可能な日時の反映方法を確認します。リンク先で送信した時点で確定するのか、店の承認を待つのかも、実際の設定に合わせて案内してください。
チャットで予約を受けない店は、実際の受付先へ案内します。予約自体を受けない店なら、初回案内やメニューにその旨を示しましょう。自動返信と店員の説明が食い違わない状態を先に整えます。
配信通数と運用費用
料金は、友だちの総数だけでなく、その月に何人へ何回送るかで考えます。公式の料金案内では、メッセージを送った回数に送った友だちの人数を掛けて通数を数えます。1回の配信は最大3吹き出しまでです。
小さく配信を始める際の確認例として、2026年10月16日に確認したコミュニケーションプランは月額0円で月200通、ライトプランは月額5,000円(税別)で月5,000通です。この2プランでは上限を超える追加配信はできません。追加メッセージを利用できるスタンダードプランもあるため、必要通数が多い場合は、公式ページで月額・含まれる通数・追加料金を確認してください。有料オプションを利用する場合は、基本プランと分けて料金を確認してください。
たとえば、配信対象が毎回100人で、月に2回一斉配信するなら、一斉配信分は月200通になります。ただし、ステップ配信も通数に数えられるため、これを併用すれば、その分の見込みも加えます。月200通をすべて通常配信に使う計画では、友だち追加後に送るステップ配信の分が収まりません。実際に送る対象人数と予定を合わせて見積もりましょう。
一方、LINEチャットの送受信や自動応答メッセージは、公式案内で無料とされています。一斉配信とチャット対応を同じ通数として計算しないようにします。ただし、チャットへの返信にも店員の時間はかかります。
検討する費用には、LINEの料金に加え、利用する外部ツールやオプション、制作・運用を依頼する費用、特典の原価、店内の作業時間を含めます。プランを上げれば運用まで自動になるわけではありません。まず必要な通数と作業を出し、自店でできない範囲が何かを決めてから、連携や委託を検討してください。
実来店と採算の振り返り

振り返りでは、画面で確認できる反応と、店が確認した来店、その利用で残る金額を順に見ます。友だちが増えたこと、予約が確定したこと、実際に再来店したことを同じ成果として数えないためです。
画面の反応と来店記録
配信日、内容、送り先、費用と、その後に確認した反応を残します。画面の開封やクリックを記録する場合は、自店の管理画面にある指標の説明と対象期間も確認してください。取得できない項目は、ゼロではなく未取得として残します。
店内では、予約希望、予約確定、来店済み、キャンセルを分けて記録します。同じ客がLINEで相談してから電話で予約した場合は、別々の予約として二重に数えず、一つの受付記録にまとめます。クーポン利用は会計と照合し、いつ、どの条件の特典が実際に使われたかを残しましょう。
初回でも使える特典なら、その利用だけでは再来店と判断できません。過去の受付記録や、客に確認できた内容など、何をもとに再来店と判断したかを記録します。確認できなければ不明として残してください。配信後に来店した客でも、LINEだけが来店の理由だったとは限りません。LINEを使ったことが確認できた来店と、施策によって増えた来店は分けて考えます。
特典の費用と曜日別の変化
来店数だけでなく、特典を使った食事でどの程度の金額が残るかを見ます。たとえば、架空の店で、特典適用後の売上が1組4,000円、料理と特典の材料など、その利用に応じて発生した費用が1,600円なら、差額は2,400円です。ここから人件費、家賃などの費用をすべて引いたわけではないため、2,400円を店の純利益とは呼べません。
この差額と運用費用を比べるときは、期間をそろえます。同じ期間に特典を利用した各組の差額を合計し、その期間のLINEの料金、外部ツールや委託の費用と照らし合わせましょう。対応時間の負担も含めて、特典や運用を続けられるか考えます。売上が増えても、値引きや作業の負担が大きい場合は、特典の条件や提供内容を見直します。
また、平日の特典で来店が増えても、週末に来る予定だった客が平日へ移った可能性があります。対象曜日だけでなく、店全体の来店と売上も同じ長さの期間で並べ、休業日や天候などの違いを残しましょう。少ない記録から、配信だけで利益や来店が増えたと決めないことが大切です。
少人数で運用するなら、配信ごとの作業を営業の流れに合わせて組みます。たとえば、店主が料理・価格・提供日を確定し、配信担当が送信前に条件とリンクを点検し、返信担当が決めた時間に問い合わせを確認する、という分担です。営業後には会計と台帳を照合して利用を記録します。一人で兼ねる場合も、配信準備、返信、記録を行う時間を予定に入れておきましょう。これは運用例なので、営業時間と作業人数に合わせて調整してください。
最初の振り返りは、今回案内した料理や特典を利用できる営業期間が終わり、その案内から入った予約の来店日も過ぎた頃を目安にします。まだ来店日を迎えていない予約は、実来店に混ぜず予約として残します。初回は集客効果を判断する前に、未返信の相談がないか、期限切れの案内が残っていないか、メッセージと店頭の条件が一致しているかを確かめましょう。不備があれば直し、次の配信も料理情報の確認から同じ順に進めます。
最初の運用は、案内する料理と提供時間帯を一つ決め、あいさつメッセージとリッチメニューを用意し、受付を試してから配信する順に進めます。その後、実際の利用と費用、店の負担を記録し、直す箇所を一つ選びましょう。配信や返信の担当を店内で決めきれない場合は、WAKURU株式会社のLINE公式アカウント運用支援でも、友だち追加後の案内や配信設計を相談できます。依頼する際は、自店で更新する情報と任せたい作業を整理し、支援範囲と費用を確認してください。



