平日のランチに空席がある、夜の会食を増やしたい、新規客の次の来店につながる案内を考えたい。そうした場面で、飲食店の集客方法を選ぶ店主・店長に向けた記事です。
まずは、増やしたい曜日・時間帯を選び、その時間に使える席と、厨房や接客で対応できる食事の内容を確認します。そのうえで、近くで食事を探す人にはGoogleマップや店頭、日程を決めた食事にはグルメサイトや公式ページ、料理や利用場面の紹介にはSNSを検討します。どこへ情報を出すかと合わせて、予約の受付と当日の入店案内を整え、来店後には次に利用できる食事を伝えましょう。
本文では、自店の受け入れ条件を整理し、集客方法を絞り、予約と実来店を記録して見直す順に説明します。営業のなかで続けられる作業量に合わせて、必要な施策を選んでください。
飲食店の集客対象と受け入れ条件

集客方法を選ぶ前に、どの曜日・時間帯に、どんな目的の食事を増やしたいのかを具体化しましょう。その時間に使える席と、料理を提供できる体制まで確認すると、告知する内容と方法を絞れます。
「もっと多くの人に知ってもらう」だけでは、すでに忙しい時間帯へ来店を集中させることもあります。まずは、空いている時間に受け入れられる人数と食事の内容を、自店の営業に合わせて絞ります。
曜日と時間帯別の来店状況
客数は、曜日と営業の時間帯に分けて見ます。ランチと夜を営業している店なら、それぞれの来店人数と組数、予約の有無を並べてみてください。満席で断った組があれば、その組数と時間帯も記録します。記録がない項目は、来店がなかったと決めず、次の営業から確認する項目にします。
たとえば、週末の夜は満席になる一方で、平日のランチには空席がある店を仮定します。この店で全日共通の割引を告知すると、すでに混んでいる夜へ来店が集まるかもしれません。まず検討したいのは、平日の昼に利用できる料理や席を伝える案です。
また、来店人数が減っていても、組数は変わらず、団体の利用だけが減っている場合があります。一人客を増やしたいのか、複数人の食事を受けたいのかで、必要な席と案内が変わります。合計の客数だけで集客方法を決めないために、人数と組数を分けて確認します。
席と料理提供の余力
空席があっても、増やしたい利用に合う席とは限りません。一人で使いやすい席が空いているのか、家族や会食の一組が座れるテーブルが空いているのかを見てください。総席数だけでは、どの利用を増やせるか判断できません。
厨房で調理できる量と、店員が注文や配膳に対応できる余力も確認します。席が空いていても、注文が集中して料理の提供に無理があるなら、その時間帯の告知を増やす前に、受け付ける料理や入店案内を見直しましょう。席、調理、接客のいずれにも余裕がある時間帯を選び、そこで提供できる食事を知らせる方法を検討します。
一人向けのランチと、複数人で料理を取り分ける会食では、席の使い方も準備も異なります。自店で実際に対応できる組人数と料理を、集客の前提として書き出しましょう。「すぐに提供できる」などの表現も、営業時の実態を確認してから使います。
食事の利用目的
呼びたい客は、年齢だけでなく食事の目的で考えると、掲載する情報へつなげやすくなります。一人で昼食をとる人、家族で食事をする人、日程を決めて会食する人では、来店前に確かめたい条件が異なるためです。
過去の来店や電話で聞かれたことを材料に、席の種類、提供する料理、利用できる時間、予約の要否を整理してください。一人の食事なら一人でも使える席とランチの内容、家族の食事なら一緒に座れる人数と選べる料理、会食なら人数に合う席と予約の条件、というように案内を具体化します。
個室、子ども用の設備、特定の食材への対応などは、実際に案内できる内容だけを載せます。J-Net21の飲食店向け販促案内でも、顧客ターゲットに合わせて方法を選ぶ考え方が示されています。この記事では、その考え方を自店の食事の目的と受け入れ条件に当てはめて、掲載内容を決めることを提案しています。
新規来店につながる集客方法

時間帯と利用目的を決めたら、その目的で来店する客が店を知った経路を、来店時の質問や予約の記録で確かめます。すでに使われている経路に営業時間や料理の情報が足りないなら、そこを直す施策を先に検討します。
次の表は、食事の目的に合わせて方法を絞るための検討例です。自店の客が使う経路と照合して選んでください。
増やしたい食事の機会 | 検討する方法 | 先に用意する判断材料 | 続けるための作業 |
|---|---|---|---|
近くで探す人の当日の食事 | Googleマップ、店頭の案内 | 営業時間、その時間に出せる料理、席、入口 | 営業変更とメニューの反映 |
日程と人数を決めた食事 | グルメサイト、公式ページ | 人数に合う席、料理内容、料金、予約条件 | 掲載情報と予約台帳の更新 |
料理や雰囲気を知って検討する食事 | SNS | 実際の料理、店内、利用場面、場所 | 撮影、内容確認、案内先の点検 |
どの経路を使うか判断できない場合は、現在掲載している営業時間や来店方法の誤りを直し、増やしたい時間帯の食事の案内を一つ用意しましょう。来店のきっかけも記録し、次に手を入れる経路を判断する材料にします。すべての媒体を同時に毎日更新する計画にする必要はありません。
Googleマップと店頭の案内
予約なしで近くの店を探す人を受けたいなら、営業している時間と、その時間に利用できる食事が分かる案内を考えます。Googleのレストラン向け案内には、営業時間、外観や内観の写真、メニュー、投稿、口コミ返信などの管理が挙げられています。
先ほどの仮定の店で平日ランチを案内するなら、その時間に出せる料理と価格、一人でも使える席、入口の写真を揃える案があります。来店して昼食をとれるか判断するための材料として掲載します。掲載した料理が夜限定なら、昼の集客案内には使わないようにしましょう。
店頭でも、営業している時間とメニューが外から確認できるか点検します。ただし、通りがかり客に店頭の案内を見てもらえるかは立地によります。来店経路を確かめ、店の前を通る人への案内が必要なのか、地図で見つけた人が入口へ到着するための写真が必要なのかを選んでください。
グルメサイトと公式ページ
会食など、日程と人数を決めて店を探す利用を受けたい場合は、グルメサイトや公式ページを予約の判断材料として整える案があります。対応できる人数、席の種類、料理の内容と料金、利用できる時間、予約の受付方法を、自店の事実に合わせて示します。
たとえば、料理の写真があっても、その内容を希望する人数で利用できるのか、予約が必要なのか分からなければ、条件の確認が残ります。写真がどの料理やプランのものか分かる説明を添え、掲載ページから希望日時を伝えるまでの流れをスマートフォンで試してみましょう。希望の送信だけで予約が確定するのか、店からの連絡が必要なのかも案内します。
有料の掲載や予約サービスを検討するときは、掲載料、予約に応じた費用、システムの利用料が発生するか、発生するなら何に対して課金されるかを契約先へ確認します。掲載情報を店と契約先のどちらが更新するかも確認しておきます。料金だけで選ばず、増やしたい時間帯の予約が実際の来店へつながったかを記録して判断します。自社ページ経由で受ける予約でも、使うシステム等の費用を確認しておきましょう。
料理と利用場面を伝えるSNS
SNSで料理や店内を紹介するなら、写真を見た人がどんな食事に使えるか分かる内容を考えます。同じ料理でも、一人で食べる量なのか、複数人で取り分けるものなのかを添えると、案内する利用場面が具体的になります。
一人向けのランチを受けたい場合は、その時間に利用できる料理と実際の席を紹介する案があります。会食を受けたい場合は、人数に合う席や料理の組み合わせ、予約の条件を伝える案です。どちらも、写真に写っている席や料理を実際に用意できることが前提です。
店名、場所、営業時間、詳しい情報を確認する先も揃えます。撮影する人と掲載内容を確認する人を決め、メニュー変更時など、実際に更新できる機会を選んでください。利用場面を伝える写真と説明を用意できない段階では、媒体を増やすより既存の営業案内の修正を優先する進め方も選べます。
広告の追加条件
広告を追加するかは、来店を増やしたい時間帯と食事の内容、案内先のページ、使える予算、受付担当、結果の確認方法が決まってから検討します。予約を受ける担当や席の確認方法が決まっていないまま告知を広げると、希望が届いても受け入れを判断できません。
対象の時間帯に席と提供の余力があり、掲載情報も揃っているなら、予算の上限を決めて案内を広げる方法として広告を検討できます。一方、予約の受付が止まっている、厨房がすでに忙しい、といった状態なら、その問題の修正を先に置きましょう。
開始前に、対象の時間帯の来店をどう確認するか決めます。予約を受けた件数と、そのうち実際に来店した組数を後で照合できるようにし、予約なしの来店も同じ時間帯の記録に含めます。
予約なし来店と予約客の受け入れ

告知した食事を店で受け入れるには、予約客と予約なしの客の両方を考える必要があります。予約数だけを見ていると、当日の席の使い方や電話での案内が計画から抜けてしまいます。
「予約なしでも利用できる」と「いつでも席が空いている」は違います。予約の要否と混雑時の確認方法を自店で決め、掲載情報と店員の案内を揃えましょう。
営業時間と来店条件
中休みがある店は、営業していない時間をまたいで開店中と見える案内になっていないか確認します。Googleビジネスプロフィールでは、同じ曜日に時間帯を分けて営業時間を設定する方法が案内されています。
通常の営業時間だけでなく、臨時休業、料理を注文できる時間やラストオーダーも、実態に合わせて公式ページや利用中の媒体で伝えます。予約が必要な食事や、入店前に電話で空席を確認してほしい時間帯があれば、その条件と連絡先も案内します。閉店時刻だけでは食事を注文できる時間が分からない場合は、その違いを説明してください。
Googleの「混雑する時間帯」も、現在の空席数を確認する台帳の代わりにはしません。Googleの公式説明では、通常の混雑グラフは過去の訪問データの平均に基づき、最新の訪問情報は通常の混雑状況と比較した現在の情報として説明されています。どちらも利用できる席を数える店の予約台帳とは異なり、店が手動で追加できる情報でもありません。
自店で空席を案内する場合は、予約台帳と実際の席を確認し、案内の時点を付ける、来店前に店へ確認する方法を添えるなどの運用を考えます。投稿時に空いていた席が、客の来店時にも空いているとは限らないためです。
予約台帳と当日の案内
電話、ネット、その他の窓口で受けた予約は、同じ台帳で確認できるように整理します。予約希望を受け付けた段階と、店が受け入れを確定した段階を分け、取消や実際の来店も記録しましょう。希望を受け付けただけの組を確定予約の件数に含めないためです。希望への返答を待つ間に席を仮押さえするかどうかも店で決め、確定予約と見分けられる形で残します。
台帳では、人数と来店予定の時間に加えて、使う席や料理の準備を確認します。席が空いているように見えても、後の予約の準備が必要な場合があります。ネット予約の数と当日客の数を別々の担当が見ているなら、誰が台帳へ反映し、当日の受け入れを判断するかも決めましょう。
たとえば、団体予約の前に空いているテーブルへ予約なしの客を案内する場面を考えます。食事を提供できるか、利用できる時間を無理なく説明できるかを確かめてから案内する、という判断です。具体的な利用時間や受付条件は、自店が守れる範囲で決め、着席前に伝えます。食事の途中で、入店時には伝えていなかった退席を求めるような対応にならないようにしましょう。
再来店を促す食事の提案

再来店を案内するときは、次にどんな食事を楽しめるかを伝えます。その前に、料理の提供や接客への感想を振り返り、店で直すべきことがあれば営業の改善へ回しましょう。初回に困った点を残したまま、告知だけを増やさないためです。
季節の料理、前回と別のメニュー、昼と夜で異なる食事など、実際に用意できる内容を次の利用理由にできます。たとえば、夜に来店した客へランチも営業していることを案内する場合は、昼に出せる料理と営業時間を伝えます。単に「また来てください」と声をかけるより、次に利用する場面を具体化する提案です。
会計時の案内や店内の掲示に加え、継続的に情報を届ける方法としてLINE公式アカウントを検討できます。LINEには、購入や来店等に応じたデジタルポイントを発行・管理するショップカードと、メッセージ等で配布できるクーポンがあります。
特典を使うなら、利用できる曜日や時間、対象の食事、客が提示するもの、店員が確認する手順を先に決め、食材や特典の費用も見ておきます。すでに混む時間にしか使えない特典では、空いている時間の集客には合わない場合があります。毎回の値引きを前提にせず、店で用意できる食事と、増やしたい利用の条件を合わせて考えてください。
配信の回数も、営業情報を確認し更新できる範囲に合わせます。友だちの数だけを目標にせず、案内を見た後の利用や特典の使用を店で確認できるようにしましょう。
営業と両立できる集客の運用

選んだ集客方法は、営業のなかで更新と対応を続けられる範囲にします。担当者、作業する機会、使う写真やメニュー情報、確認する来店を決めてから、実施する範囲を広げましょう。
更新範囲と担当者
まず、営業日時やメニューの変更を確認する人と、各媒体へ反映する人を決めます。一人が両方を担当する店でも、何を確認してから更新するかを決めておくと、掲載内容の食い違いを探しやすくなります。
メニュー、価格、席の写真、予約条件の元情報を一か所にまとめ、利用している媒体へ同じ内容を反映する方法があります。新しい写真を毎回撮る前に、今の営業に合う写真を選び、使う目的を明確にしましょう。中休みや休業日を変更したときは、投稿を増やす作業より、営業案内の更新を優先します。
運用へ使える時間が少ない場合は、対象の時間帯を一つ選び、その利用案内と既存情報の修正に絞る進め方もあります。たとえば営業後にまとめて確認するのか、メニュー変更時に更新するのかを自店の仕事に合わせて決めます。撮影、掲載内容の確認、予約や電話への対応まで含め、担当者が実行できる作業量を選んでください。
予約数と実来店の記録
媒体の画面で確認できる反応と、店で受けた予約や来店は別々に記録します。Googleビジネスプロフィールの「通話数」は、通話ボタンがクリックされた回数です。電話がつながった数でも、予約や実来店の数でもありません。
店側では、先ほど整理した台帳を使い、予約を受けた経路と、その予約客が実際に来店したかを確認します。たとえば、ネットで確定した予約について電話で人数変更を受けても、新たな電話予約としては数えません。元の予約へ変更を反映し、一組として記録します。
予約なしで来店した客は、予約客とは分けて人数と組数を残します。予約客の実来店と予約なしの来店を合わせて、その時間帯に受け入れた客数を確認してください。店を知ったきっかけは、答えられる範囲で短く聞き、分からない場合は不明として残します。
再来店についても、客に聞けた内容や、再来店と判断できる特典の利用など、何をもとに判断したかを残します。特典を使っただけで再来店とは決めず、初回来店でも使える特典かどうかを確認してください。初回か再来店か分からない客は、不明として記録します。すべての来店を分類できる前提にせず、確認できた範囲で振り返りましょう。
Googleの公式案内では、すべてのパフォーマンス指標を利用できるわけではなく、予約の指標には予約プロバイダ経由での管理が必要とされています。表示されない項目をゼロにせず、自店で確認できる画面の指標と店内の記録を照合します。
SNSで知り、地図で場所を確認してから電話した客も考えられます。来店時の一つの回答だけで、どの媒体が来店の原因だったかを完全に確定することはできません。経路が不明な来店も残しながら、受付が止まっている箇所や案内の不足を探す材料として使います。
時間帯別の結果と改善判断
最初に選んだ曜日・時間帯について、実施前後の来店人数と組数、予約客と予約なしの客の内訳、料理提供や接客の負担、集客に使った費用を並べます。休業日、天候、近隣のイベントなど、比較する営業の条件が違う場合も記録しておきましょう。店全体の売上だけを見て、施策の効果があったと決めないためです。
そのうえで、次に直す箇所を選びます。
- 来店が増えても提供に無理がある場合
告知をさらに増やす前に、受け付ける時間、席、料理の内容を点検します。集客対象を決めたときの余力と、実際の営業が合っているかを確かめます。
- 画面の反応は増えたが来店が分からない場合
電話への対応、掲載した来店条件、予約の受付から確定までの流れを確認します。記録が足りないなら、費用を増やす前に、予約の受付、確定、実来店を照合できる記録を整えます。
- 新規来店はあるが再来店を把握できない場合
初回の食事で困ったことがなかったか、次に利用する食事を案内できているかを見直します。再来店の記録がない状態と、再来店がない状態は区別して扱います。
結果が分からないまま媒体や費用を増やさず、来店前の案内、店での受け入れ、次の食事の案内のうち、確認できた問題を一つ改善していきましょう。
店舗情報と来店の案内を整理したい場合は、WAKURU株式会社のMEO対策・Googleマップ運用支援でも相談できます。増やしたい時間帯と、今の店で対応できる食事を共有し、必要な修正を具体化してください。



