クリニックの広告を始める、または見直すときは、媒体を決める前に、知らせたい診療、初診・再診の受付条件、受け入れられる曜日・時間、通院できる地域を院内で整理します。地域や診療科で探す人に案内するなら検索広告、閲覧中に医院の存在を知らせるなら画像や動画の広告、生活圏で接点を作るならチラシや看板が候補になります。
ただし、医療機関では媒体の届き方だけで選べません。広告枠とリンク先で掲載できる内容を分けて確認し、健康に関わる配信・計測の制限を踏まえて候補を絞ります。そのうえで、自院の実績から予約・来院をどこまで試算できるかを確かめ、総費用の上限と、結果を見直す日を決めて出稿します。効果を見るときも、クリック、予約の申込み、予約確定、来院を分けて評価します。
歯科を除くクリニックの院長、事務長、広告・Web担当者に向けて、媒体の絞り方、広告文と案内先の準備、費用と効果の見方、運用会社への依頼範囲を説明します。
診療と受付に合う広告の目的
最初に、何を知らせる広告かを一つの文章にします。「新患を増やしたい」だけでは、案内する診療や、患者が次に取る行動を決めにくいためです。開院や移転を知らせ、医院の場所を知ってもらうのか、現在受け付けている診療の初診予約を案内するのかを分けて考えましょう。
院内では、対象の診療、初診と再診の受付方法、受け入れられる日時、予約の要否、電話対応時間を確認します。広告で案内したい時間に診療枠があっても、初診は別の窓口で事前に受け付ける運用なら、その条件まで伝える必要があります。診療内容は医師など確認できる人が、受付の条件は受付責任者が確定します。
例えば、内科で平日午後の初診を案内すると仮定します。その時間に初診を受け付けられることと、広告のリンク先で申込方法を確認できることが出稿の前提です。受け付けられない診療や日時がある場合は、広告の内容や配信計画へ反映します。
目的が決まると、媒体を比較する軸も具体的になります。移転先を周辺へ知らせたい場合は、生活圏で接点を作れる媒体を検討します。特定の診療を探す人へ案内したい場合は、その検索に広告を出し、対応する診療ページへ案内できるかを優先して考えます。
クリニック広告の種類と選定条件

広告媒体は、患者と接する場面に加え、掲載できる内容、準備する素材、案内先、費用が発生する条件で比較します。「内科ならこの媒体」「美容医療ならSNS」と診療科名だけで決めず、自院の目的に当てはめて候補を絞ります。
媒体の候補 | 検討する場面 | 出稿前に用意するもの | 比較するときの注意点 |
|---|---|---|---|
検索広告 | 地域や診療科などで受診先を探す検索へ案内する | 対応する検索語、広告文、診療・受付の案内ページ | 検索の目的と自院の対応、広告枠で使える表現 |
画像や動画を使う広告 | 閲覧中に医院の存在や案内を知ってもらう | 掲載可能な画像・文章、配信方針、リンク先 | 健康関連のターゲティング制限と素材の確認・更新負担 |
チラシや地域情報誌 | 配布地域や発行時期を決めて知らせる | 掲載原稿、地図、詳しい情報への案内 | 配布できる区域・建物、納期、印刷・配布の条件 |
看板や交通広告 | 道路や沿線などの生活経路で知らせる | 掲示する情報、場所、見え方の確認 | 掲載期間、制作・差し替え・終了時の条件 |
候補となる広告商品ごとに、掲載先、指定できる地域、課金方法、契約条件を確かめます。費用の安さに加え、必要な情報を届けられるか、出稿後にどの結果を確認できるかも判断材料にします。
また、自院サイトのSEOやGoogleマップの情報整備は、有料広告枠を購入する施策とは分けて考えます。LINE公式アカウントで予約先を案内する運用も、広告の配信とは役割が異なります。現在の施策で届いていない相手や場面を整理すると、広告で補いたい役割が明確になります。
検索広告
検索広告は、受診先を調べている人へ案内したいときの候補です。Googleの検索キャンペーンの説明では、商品やサービスをオンラインで積極的に探す人に広告を表示する機能とされています。自院で受け付ける診療と地域に合う検索に対し、掲載可能な広告文と案内先を用意できるかで検討します。
検索語、広告文、リンク先は一組にして考えます。地域と診療科の検索に広告を出すなら、案内先にも、その医院で受けられる診療と初診の受付方法が必要です。検索広告の一般的な機能の説明だけで、個々の医療内容を広告できると判断せず、後述する掲載条件と媒体審査を確認してください。
検索数が多い症状名や治療名を、そのまま出稿対象にする必要はありません。自院で対応しているか、検索した人が知りたい内容にページで答えられるかを院内で確認します。広告担当者が症状名から診断や治療内容を推測して原稿へ加える進め方は避けましょう。
出稿後も、設定したキーワードだけでなく、確認できる実際の検索語句と問い合わせ内容を見ます。求人や別の診療など目的の異なる反応があるなら、配信対象や広告文の修正候補にします。語句だけで一律に除外せず、案内したい診療に関する検索まで配信対象から外れないかも確認します。
画像や動画を使う広告
医院の場所や院内の様子などを視覚的に伝えたい場合は、画像や動画を使う広告が候補になります。例えばGoogleのディスプレイ広告では、ウェブサイトやアプリなどを閲覧している人へ、視覚的な広告を配信できます。この一般的な届き方と、医療の広告で利用できる内容・配信設定は分けて確認します。
選定時には、対象地域で接点を作れるかに加え、掲載可能な素材を用意し、公開前の確認や公開後の更新に対応できるかを見ます。SNSの画像・動画広告を検討する場合も、診療科名や見栄えのする写真があることだけで媒体を決めず、候補の広告商品の掲載先と条件を確かめましょう。
医療関連では、配信する相手の選び方にも制限があります。Googleの健康に関するパーソナライズド広告ポリシーは、疾病や慢性的な健康障害、侵襲的な医療処置などをデリケートなカテゴリに含めています。このカテゴリの商品・サービスを宣伝する場合、カスタマーマッチやデータセグメントなど、Googleが「広告主様が選択したオーディエンス」と定める配信対象は使えません。詳しくはターゲティング制限の説明で、利用する機能を照合してください。
このカテゴリに該当する診療のページを見た人への再配信は、計画の前提にしないようにしましょう。一方、Googleがあらかじめ定義したオーディエンスには、こうしたカテゴリでも利用できるものがあります。健康に関わる広告がすべて禁止されるわけではないため、広告内容、配信機能、対象地域を運用担当者に示し、使える設定を確認します。他の広告媒体では、その媒体の現行ポリシーを別に確認してください。
チラシと看板・交通広告
チラシは地図や診療時間、予約方法などを紙面にまとめて配布する広告です。新聞折込は新聞の購読世帯、ポスティングは指定区域の郵便受けなどが配布先となるため、配布方法と対象を合わせて確認します。看板や交通広告には道路沿い、駅構内、車内などの掲示場所や路線の違いがあります。
これらを選ぶときは、配布区域や掲示場所と、今回知らせたい相手の通院経路を照合しましょう。例えば、駅から医院へ向かう出口と掲示場所が合っていれば、その経路を使う人へ所在地を知らせる候補として検討できます。近い地域でも道路や河川で移動経路が違うため、直線距離だけでは決めません。こうした条件は候補を絞る判断材料であり、その場所へ出稿すれば来院が増えると示すものではありません。
紙面や掲示面には、医院名、診療科、所在地、診療時間など、知らせる目的に必要な情報を優先します。詳しい案内をウェブサイトへ置く場合も、紙面や看板そのものに載せられる内容は別に確認します。二次元コードは実際に読み取れる場所・大きさで使えるかを点検してください。
見積もりでは、掲載・配布の費用だけでなく、原稿やデザイン、印刷、差し替え、契約の更新・終了に関する条件を確認します。移転日や診療時間の変更が決まっているなら、いつまで旧情報が残るかも選定条件です。途中で原稿を直せるか、直す場合に費用がかかるかは、契約先へ確認しましょう。
広告文と案内先の掲載条件
クリニックの広告では、診療の事実が正しいことに加え、その媒体で広告できる事項かを確認します。広告枠に載せる文章・画像と、クリック後に開くページを別々の掲載物として点検してください。
本節は、2026年10月27日に確認した厚生労働省の医療広告等ガイドラインと現行Q&Aに基づきます。個別の原稿は、診療の内容と掲載方法をそろえて照合します。
広告枠で使える情報
医療広告は、原則として法律や告示で認められた「広告可能事項」の範囲で行います。医院の名称、電話番号、所在地、診療日・診療時間、予約による診療の有無などが例として示されています。診療科名は、医療法施行令で定められたものか、当該診療に従事する医師が厚生労働大臣の許可を受けたものかを確かめ、自院の実態と照合して原稿に使います。
ここで注意したいのが、広告可能事項の制限を条件付きで外す「限定解除」です。ガイドラインは、インターネットのバナー広告や、検索サイトでスポンサーとして表示されるもの、費用を払って上位に表示されるものは、患者が自ら求めて入手する情報という第一の要件を満たさないとしています。リスティング広告自体が一律に禁止されるのではなく、広告枠では広告可能事項の範囲を守る必要があるという区別です。
自由診療を扱う広告でも、治療名やその内容を何でも載せられるわけではありません。どの医療内容をどの条件で広告できるかは、ガイドラインと広告告示の該当箇所を確認します。「自由診療だからすべて不可」「費用を添えればすべて可」のどちらにもまとめないでください。
広告可能事項に加え、禁止される表現も確認します。虚偽・比較優良・誇大な広告や、患者の主観・伝聞に基づく治療内容・効果の体験談などが対象です。許される情報であっても、治療結果の保証や他院より優れているという表現を付け足さず、実態を伝える原稿にします。
リンク先の自由診療情報
リンク先の医院サイトも医療広告の規制対象です。ただし、Q&AのQ1-7は、バナー広告からリンクした医院サイトであっても、患者が自ら求めて入手する情報を表示するサイトとして、限定解除の要件を満たせば、広告可能事項の限定を解除できると説明しています。広告から移動するという理由だけで、リンク先も広告枠と同じ範囲に固定されるわけではありません。
限定解除では、患者が自ら求める情報であることに加え、掲載内容について容易に問い合わせられる照会先が必要です。自由診療の情報を提供する場合は、通常必要な治療内容、標準的な費用、治療期間・回数と、主なリスク・副作用などの情報を掲載します。各項目は院内で確認した内容を使います。未承認医薬品等を使う場合には追加の掲載事項があるため、その治療に該当する要件を確認してください。
公開画面では、費用やリスクを利点に比べて極端に小さくしたり、必要な情報をさらに別のリンク先へ置いたりしないよう、見え方も点検します。Q&AのQ6-10は、「予約専用」と記載され、問い合わせもできる旨の記載がない電話番号などでは、照会先の要件を満たさないとしています。予約ボタンや番号の有無に加え、掲載内容について問い合わせ、その返答を受けられるかを確かめます。
限定解除で外れるのは広告可能事項の制限であり、先ほどの禁止事項は残ります。また、リンク先で掲載できる説明でも、広告枠へそのまま転載できるとは限りません。広告原稿とページは、それぞれの掲載条件に照らして確認します。
法律と媒体審査の確認
法律上の掲載条件と、広告媒体の審査条件も分けて扱います。Googleのヘルスケア、医薬品のポリシーは、広告とリンク先に適用され、一部の内容には広告の禁止、認定、対象地域などの条件を設けています。Googleの審査を通過したことだけで、医療広告上の確認を終えないようにしましょう。
院内では診療と受付の事実を確定し、制作・運用担当は広告原稿、画像、リンク先、配信設定をそろえて確認します。判断に迷う場合は、医院所在地を管轄する自治体の医療広告の相談窓口へ、実際の原稿と掲載先を示して確認します。「この表現は使えるか」だけでなく、どの媒体の、どの場所へ、何と一緒に表示するのかまで伝えると、確認対象が明確になります。
地域と総費用を含む出稿計画

出稿計画は、案内する診療と受付条件、媒体、地域、リンク先、確認する結果を一組にし、使える総費用と見直す日を決めます。広告枠の購入や配信に使う媒体費だけを先に決めると、原稿の制作・確認やページ修正に必要な費用が残らないことがあります。
通院経路と配信地域
地域の候補は、医院からの距離に加え、沿線、道路、駐車場などの通院経路から考えます。既存医院なら、院内で把握している地域別の来院傾向も参考になります。診療科ごとに固定の半径を当てはめず、今回知らせたい診療を利用できる範囲かを検討してください。
Googleの検索広告とディスプレイ広告の地域ターゲティングの詳細設定では、初期設定の配信対象に、対象地域にいる人や定期的に訪れる人に加え、その地域に関心を示す人も含まれます。「所在地」の設定は、その地域にいる可能性が高い人と、よく訪れる人を対象にするもので、住民だけに限定するものではありません。
通院しやすい地域にいる人へ案内したいのか、地域外から事前に調べる人も対象にするのかを決め、設定の意味と照合します。地域の判定は常に正確とは限らないため、設定後も、配信結果と院内で把握できる来院者の地域の傾向を見て調整します。
出稿前の費用と来院の試算
出稿前の試算では、媒体費と、それ以外の制作・運用などの費用を分けます。媒体費は広告の掲載・配信に使う金額で、後述するクリック数の試算に使います。広告素材の制作、案内先ページの修正、運用の依頼などにかかる費用も足した総費用で、医院の負担を見積もりましょう。紙や看板では、印刷・差し替え・終了時の費用も確認してください。
次に、クリックを確認できるウェブ広告では、自院の過去実績から予約・来院までを試算できるか検討します。同じ診療、地域、受付条件で比較できる記録を選び、その広告のクリックに対応する予約確定と、その確定予約からの来院を確認できる範囲で、次の値を整理します。
- 媒体費をクリック数で割った、1クリックあたりの費用
- クリックから確認できた予約確定数をクリック数で割った、予約が確定する割合
- その確定予約からの来院数を予約確定数で割った、来院する割合
予約確定と来院は、同じ集計対象の予約でそろえます。来院する割合は、その予約の来院予定日を迎え、結果を確認してから求めます。予定日を迎えていない予約を、来院しなかった件数へ含めません。広告との対応が分からない件数も混ぜず、割る数が0件なら計算しません。
ここで整理する割合は、広告経由と確認できた件数に基づく医院の試算用の値です。医院全体の予約率・来院率や、広告管理画面の「コンバージョン率」とは区別します。把握方法や把握できる範囲が違う記録同士も、そのまま比較しないようにしましょう。
計算は、予定媒体費を1クリックあたりの費用で割ってクリック数を出し、予約確定、来院の順に進めます。1クリックあたりの費用が不明または0円なら、この割り算でクリック数を求めることはできません。仕組みを示すため、媒体費6万円を使い切り、制作・ページ修正・運用費に合計4万円がかかると仮定します。さらに、1クリック300円、クリックから予約が確定する割合5%、確定予約から来院する割合80%と置きます。すべて説明用の仮定であり、業界平均、推奨予算、実際の医院の成果見込みを示す数字ではありません。
- 媒体費6万円を1クリック300円で割ると、クリック数の試算値は200回です。
- 200回のクリックに予約が確定する割合5%を掛けると、予約確定の試算値は10件です。予約ページへの移動や申込みの件数とは区別します。
- 確定予約10件に来院する割合80%を掛けると、来院件数の試算値は8件です。
この仮定では、来院1件あたりの媒体費は6万円を8件で割った7,500円。制作・ページ修正・運用費も含めた総費用では、10万円を同じ8件で割った12,500円です。総費用でも計算すると、媒体費だけでは分からない制作・運用などの負担を含めて評価できます。試算の来院数が0件なら、1件あたりの費用は計算できません。
この試算は、予定媒体費を使い切り、1クリックの費用と各割合が仮定どおりであれば、という計算です。過去実績を使っても今後の予約・来院を保証するものではなく、受付条件や配信結果が変われば値も変わります。来院の試算値だけで費用を決めず、受け入れられる診療枠とも照合してください。
自院の実績がない、条件が違う、予約との対応が分からないといった項目は、不明のまま扱います。他社事例の割合や、キーワードプランナーなどで調べた検索需要を、予約が確定する割合や来院する割合の代わりにはできません。必要な値がない場合は来院見込みを計算せず、負担できる支出上限と確認日を置き、初回に把握できた費用・クリック・予約確定・来院を次回の試算材料にします。紙や看板も、クリック数を前提としたこの計算へ無理に当てはめません。
検証予算と見直し日
試算できる項目があってもなくても、初回に何を確かめ、成果が出なかった場合にどこまで負担できるかを決めます。前節で分けた媒体費と制作・運用などの費用について、対象期間の支払額をそろえ、総支出の上限を置きましょう。共通の月額相場や仮定例の金額を、そのまま自院の予算にする必要はありません。
管理画面の予算設定の意味も確認が必要です。Googleの1日の平均予算は固定の日額上限ではなく、ほとんどのキャンペーンでは1日の費用上限が平均予算の2倍、1か月が30.4倍とされています。使用する予算方式や途中変更の条件を確認し、医院で決めた総支出の上限と分けて管理します。
初回は、一つの診療案内について、地域と媒体を定めて試します。確認日には、使った費用、広告の反応、把握できた予約・来院、まだ結果が確定していない件数を並べます。全院共通の検証日数や必要件数を置くのではなく、自院の予約から来院までの期間や診療日数に合わせます。
費用上限に近づいた、初診の受入枠がなくなった、案内先に不具合が見つかった、といった場合の連絡先と配信を制限・停止する担当も先に決めます。判断日に結果が少ないからという理由だけで、確認期限や費用上限を決めずに延長しないようにします。
予約と来院を分けた効果の見方
広告の表示やクリックは、患者が来院した結果とは異なります。出稿前に、何を数え、どの記録で確認できるかを決めてください。予約ページへの移動しか計測できない場合、その数字を予約完了数とは呼びません。
確認する段階 | 照合する情報 | 評価するときの区別 |
|---|---|---|
広告への反応 | 媒体の表示、クリック、費用 | 受診の申込みや来院ではない |
予約先への移動 | 予約ページへ移動した操作の数 | 予約の申込みや確定を示す数ではない |
予約の申込み | 申込フォームなどで受け付けた件数 | 希望の送信だけなら予約確定と分ける |
予約の確定 | 院内や予約システムで確認した確定件数 | 実際の来院とは分けて確認する |
来院 | 院内で確認した実際の来院件数 | 広告経由が分かる件数と不明な件数を分ける |
広告との対応が分からない予約や来院は、不明のまま残します。看板を見た後に医院名で検索するなど、複数の接点が関わる場合もあるため、クリックした広告だけを受診の唯一の理由と決めつけないようにしましょう。
計測機能と送信情報の制限
一般の店舗向けの計測機能を、そのままクリニックで使えるとは限りません。Googleの来店コンバージョンは推定値であり、特定の健康問題に関するビジネスなど、デリケートなカテゴリの施設は対象外とされています。すべての医院で来院が自動的に計測されるという前提では、評価方法を組みません。
また、顧客データに関するポリシーでは、健康や医療に関連するデリケートなコンバージョン情報を、拡張コンバージョンの測定や店舗販売のアップロードに使用できないとしています。測定精度を上げるために、患者の予約・診療情報を広告側へ送る設計を先に進めないでください。利用する機能と送信される情報を、設定前に確認します。
院内で来院件数を集計することと、その情報をGoogleへ送信することは別の判断です。広告側で取得できる反応と、院内で管理する予約確定・来院の集計を分け、必要な範囲の件数で結果を確認します。計測できない来院を、電話ボタンや経路案内の操作数から埋め合わせることもしません。
受付結果から選ぶ改善箇所
配信後は、少なかった数字だけで原因を断定せず、次に調べる場所を選びます。例えば対象外の診療の問い合わせが多いなら、検索語句や地域、広告文で案内した内容を照合します。広告のクリック後に予約が確認できないなら、診療の説明と初診の条件、予約先への操作、計測できている範囲を点検します。
予約が確定していても来院に至らない場合は、取消など院内で確認できる状況を見ます。理由が分からないものを、広告の質や患者の意向が原因だと推測で分類しないでください。受付で確認された説明不足や案内の不一致があれば、その箇所の修正を検討します。
費用は、どこまで含めた金額かをそろえて評価します。例えば、広告経由と確認できた来院1件あたりの広告関連費用を見るなら、対応する期間・出稿対象の総費用を、広告経由と確認できた来院件数で割ります。これは把握できた来院件数に対する負担額であり、経由が不明な来院も含めた単価ではありません。広告経由と確認できた来院が0件なら、1件あたりの費用は算出せず、支出額と0件だった結果をそのまま記録します。医院全体の来院件数で割った値や、媒体費だけで求めた単価とも区別してください。
来院が増えても、季節や休診日数、診療枠の変更、別の施策が影響することがあります。広告経由と確認できた件数、医院全体の増減、広告だけによる純増は別の値であり、これらの集計だけで純増までは確定できません。将来の通院や売上を未確認のまま見込んで増額せず、現在の費用、受入余力、確認できた結果と残る不明点を示して、継続・修正・停止を決めましょう。
院内と広告運用会社の役割

外部へ依頼する場合も、院内で確定する情報と、制作・運用会社が担当する作業を分けます。診療や受付の事実を確定する人、医療広告の掲載条件を確認する人、入稿と配信を行う人、費用や設定を変更する人が分かる状態にします。
公開前の確認と変更の連絡
公開前は、医院側が確定した診療・受付情報と、広告原稿、画像、リンク先を照合します。ウェブ広告では、広告のプレビューとスマートフォンで開いた案内先を確認し、必要な情報が読めるか、対象診療の受付方法へ進めるかを確かめます。実際の予約枠に影響する操作テストは、院内で実施方法を決めてから行ってください。配信開始後も、承認した原稿・リンク先・設定と実際の表示を照合します。
診療時間や初診の受付条件が変わる際には、どの広告・ページへ反映するか、いつ連絡するかを決めます。医院側の確認待ちが残る原稿を出さないことと、公開済みの案内が実態とずれた場合に誰が止めるかまで共有します。変更日、変更した箇所、確認した担当者を残すと、その後の結果を読み直せます。
依頼範囲と相談の準備
相談時には、案内したい診療と受付条件、現在の広告・案内先、把握している費用と結果、使える予算、院内の確認担当を用意します。初めて出稿するなら、過去の実績を無理にそろえる必要はありません。何が決まっていて、何を一緒に検討したいかを伝えます。
見積もりでは、媒体の選定、原稿・画像、医療広告の確認、案内先の修正、入稿、計測、定期的な見直しのうち、どこまでが依頼範囲かを確かめます。特に、媒体の審査対応と医療広告の確認を誰が担うか、院内へ何を確認するか、追加費用と配信を止める権限を明確にしましょう。
WAKURU株式会社は、広告戦略と効果測定の設定、入稿・配信、広告やリンク先ページの改善を支援しています。媒体や予算、広告から案内先までの見直しを相談したい場合は、広告運用の支援内容をご確認ください。相談時には、診療内容や医療広告の条件を誰が確認するか、制作・運用をどこまで依頼するかもすり合わせましょう。



