平日の予約に余力があり、どのメニューを誰へ案内するか迷っている美容室の店主・店長・受付担当者に向けて、空き枠の埋め方をまとめました。土日が満員の店も、曜日を問わず来店が少ない店も、まずは自店で受け入れられる枠を特定する必要があります。
予約台帳から対象の曜日と時間、担当者、受けられる施術を決め、顧客が平日に来られる曜日と時間に合わせて、次回予約や空き情報を案内します。値引きを使うかは、追加の来店で増える売上と費用、土日から移る顧客への値引き分を分けて考えます。本文では、枠と顧客の照合、案内と受付、特典の採算、実来店による見直しの順に説明します。
平日の空き枠と集客の目的
平日の集客では、埋めたい曜日・時間帯と、その枠で受けられる施術を先に決めます。「平日は空いている」という店全体の印象だけでは、誰にどの予約を案内すればよいかが決まらないためです。
予約台帳と勤務予定を並べ、予約が入っていない時間のうち、担当者と席・設備がそろう時間を探しましょう。そのうえで、土日に集中する来店を分散したいのか、店全体の来店を増やしたいのかを分けます。この目的によって、施策後に確かめる結果も変わります。
曜日と時間帯ごとの受付余力
台帳では、曜日ごとの件数に加え、同じ担当者が連続して施術できる時間を見ます。休憩、休み、準備、すでに入っている電話予約などを除き、実際に受け付けられる枠を対象にしてください。店の席が空いていても、必要な技術を担当するスタッフがいなければ、その施術を告知する枠にはできません。
例えば、ある店で午前に60分、午後に60分の空きがあるとします。合計は120分でも、120分の連続した時間が必要な施術を受けられるわけではありません。これは枠の違いを説明する仮定であり、施術時間の標準ではありません。自店で必要なカウンセリングや準備も含めて、受けられるメニューを判断します。
空きの多い曜日が分かったら、まず一つの時間帯と担当者に絞って案内を考えます。予約が取れるかを点検しやすくなり、結果を見るときにも、どの枠を埋めるための告知だったかが分かります。
希望する来店時間が現在の営業時間と合わず、営業時間の延長やスタッフ配置の変更を検討する場合は、予約相談や希望日時の記録から、どの曜日・時間に希望があるのかを確かめます。担当者と席・設備を確保できるか、休憩や準備・片付けの時間を取れるか、追加の人件費や運営費がいくらになるかも整理してください。現在の営業時間内で施術や担当者の組み合わせを変える案と比べ、試す場合は対象の曜日と期間を決めます。実来店と追加費用、スタッフの負担を確認し、続けるかを判断しましょう。
曜日分散と追加来店の違い
土日の予約を平日へ移しても、同じ人の来店日が変わるだけなら、店全体の来店件数は増えません。曜日の偏りを小さくする目的には合っていても、新しい売上が生まれたとはまだ判断できない状態です。
土日に予約を断っている店なら、平日へ移った後の土日枠に別の人が来店したかを確かめます。平日へ移った人に加えて、空いた土日枠にも別の人が来店し、ほかの来店件数が変わらなければ、その分だけ店全体の来店件数も増えます。土日にも余力がある店は、曜日移動だけでなく、まだ来店していない人や再来の予定が決まっていない人への案内も検討します。
すでに土日を予約している人へ、店側の都合で変更を求める必要はありません。これから次回を決める人に、希望が合えば平日の候補も伝える進め方です。曜日分散を狙う場合も、本人の都合を優先します。
平日に来られる顧客と案内内容

案内する相手は、年齢や職業だけで決めず、来られる曜日と時間が対象枠に合うかで考えます。過去に平日に来た人でも、今は予定が変わっているかもしれません。反対に、土日を選んでいた人も、次回は平日の候補を検討できる場合があります。
顧客が滞在できる時間と、前の章で確認した施術に必要な時間を照合します。この二つが合ってから、その枠で受けられるメニューと予約先を案内しましょう。平日に来られない相手へ割引を重ねても、予定の不一致は解消できません。
既存客の来店履歴と希望日時
既存客への案内を考えるときは、平日に来た履歴、利用したメニュー、担当者を候補探しに使います。ただし、履歴だけで現在の予定や連絡の希望を確定しないようにします。
会計や次回の相談で「次は平日と土日、どちらがご都合に合いますか」「何時ごろまでにお帰りになりたいですか」と聞けば、予約に必要な条件を確かめられます。本人が答えた希望と、案内を受け取りたい窓口を、店内の受付担当が分かる形で残してください。勤務先や家庭の事情を詳しく聞き出さなくても、希望日時が分かれば枠を照合できます。
まだ次回の日程が決まらない人には、後から予約できる窓口を伝えます。空き枠の連絡を希望している人と、こちらからの案内を望まない人を区別し、全員へ同じ連絡を繰り返さない運用にします。
来店条件に合うメニューの案内
平日向けに新しいメニューを増やす前に、現在の施術を受けられる条件が伝わっているかを見ます。帰る時刻が決まっている人には、施術内容と所要時間の見込み、相談によって内容や時間が変わる条件を説明します。長く滞在できる人へ長時間の施術を案内する場合も、担当者と連続した枠が確保できることが前提です。
例えば、短い空き枠しかないのに、長時間の施術を平日限定として広く紹介すると、問い合わせが来ても受け付けられません。メニュー名の魅力より、相手の希望と店の受付条件が合うことを優先します。
「平日は待たずに受けられる」「ゆっくり相談できる」と伝えるなら、その時間を実際に確保できるかを確認してください。平日というだけで待ち時間を保証したり、対応していない子どもの預かりや同伴サービスを付け足したりしないようにします。いつ受けられるかが分かる案内だけでも、予約を選ぶための情報になります。
初めて来店する人へ平日の枠を案内する場合は、施術内容、料金条件、担当者、所要時間の見込みに加え、店舗の所在地やアクセス、実際に利用できる予約方法も確認できるようにします。通常のメニューとは利用できる曜日や時間、追加料金などの条件が違う場合は、その違いを実際の運用に照らして記載してください。メニューの紹介ページと予約先の案内を見比べ、初めての人にも同じ条件を伝えられる内容にそろえます。
次回予約と空き枠告知の運用
先の日程を決める次回予約と、目前の空きを知らせる告知は、相手の予定に合わせて使い分けます。来店中に次回を相談できる人には、その時点の候補を伝えます。予定が未定の人には受付窓口を案内し、直前の告知は、現在受けられる施術と日時を示します。
どの場合も、予約台帳を確認してから案内を出します。告知した後に別の窓口から予約が入ることもあるため、空き情報を出す担当と予約を受ける担当の連絡方法まで決めておきましょう。
店頭の次回提案と告知文
次回の提案は、今回の施術、髪の状態、本人の希望を基に、美容師が相談して行います。全員へ同じ来店周期を当てはめる必要はありません。次回の来店時期の目安が決まったら、その時期の平日に本人の希望と合う候補があるかを確認します。
後日の告知には、日時、受けられるメニュー、担当者、料金条件、申し込み方を載せます。以下は、条件を伝えるための架空の例です。時間や料金は自店で確認したものに置き換えてください。
水曜14時に、担当Aのカット枠があります。相談とお会計を含め60分を予定し、料金は6,000円です。ご希望の方は予約ページで空き状況をご確認ください。ほかの窓口からも予約を受け付けているため、枠が埋まる場合があります。
追加料金などの条件がある店は、その対象と金額も申し込み前に確認できるようにします。チャットなどで手動受付する場合は、希望日時を送るだけでは予約が確定しないことと、店からのどの連絡で確定するかを案内してください。
当日枠をSNSで知らせるなら、受付を終える時刻も付けます。枠が埋まったら空き情報を修正し、期限を過ぎた告知が現在の予約案内として残らないようにします。空き情報の修正は、予約受付と同じ担当業務として扱うことが必要です。
LINEの機能と予約確定
LINEで空き情報を知らせる方法は、使う機能によって異なります。LINE公式アカウントのリッチメニューには、外部の予約ページへのリンクを設定できます。ただし、リンクを置くことと、予約台帳から空きを読み取って配信することは別です。自店の予約システムと連携できるか、必要な設定や費用を提供元に確認します。
LINEビューティーオプションの公式マニュアルは、スタッフと期間を選ぶ空席配信を案内しています。利用前には予約受付設定が必要です。予約済みの顧客を配信先から外す設定は、解除しないよう案内されています。また、来店に基づく配信では、管理画面で来店処理をしていないと正しく配信できない場合があります。これは同オプションの機能と条件で、すべてのLINE公式アカウントが標準で同じ配信をできるという意味ではありません。
LINEのチャットで手動受付する店は、希望日時の受信と予約の確定を分けます。担当者が最新の台帳で枠を確認し、日時、メニュー、担当者、料金条件を確定して返答します。電話や店頭で受けた予約も同じ台帳に反映し、返信待ちの相談を確定予約として数えないようにしてください。
配信の前には、対象者がすでに予約していないか、受付内容に変更がないかを点検します。枠が埋まった後も古い空き情報を送り続けないため、手動運用でも配信担当が受付状況を確かめられるようにします。
平日特典と値引きの採算

平日限定の特典や値引きは、対象枠の案内が相手に届くか、その案内どおりに予約を受け付けられるかを確かめたうえで検討します。料金が原因か分からないまま下げると、もともと来店する人にも値引きし、店全体の収入を減らす場合があります。
判断には、割引後の売上、施術が増えることでかかる費用、通常料金で来る予定だった顧客が平日へ移ることで生じる値引き額を使います。割引率に共通の正解を置くより、自店の金額と時間で、追加の来店を受け入れる意味があるかを確かめましょう。
追加サービスの時間と料金条件
価格を下げる代わりに追加サービスを付ける場合も、その費用と時間を確認します。顧客への料金が無料でも、材料や担当者の時間まで不要になるわけではありません。追加の施術が長くなることで、次の予約を受けられなくなる場合も考えます。
検討するサービスについて、必要な時間、使う材料、担当できるスタッフを確認し、最初に選んだ対象枠に収まるかを判断します。余力がなければ、内容や対象枠を変える必要があります。特典のために施術を急いで終える設計にはしないようにしましょう。
告知では、対象の曜日と時間帯、利用できる顧客、料金に含む施術、追加料金の条件、予約受付の終了時刻を明確にします。必要な条件はメニュー説明と予約先でも合わせます。平日の全営業時間が対象なのか、特定の時間帯に施術を開始する予約だけが対象なのかなど、店が実際に決めた条件を受付担当も説明できるようにしてください。
追加来店と曜日移動の計算例
値引きの影響は、追加で来た人と、通常料金で来る予定だった人を分けると考えやすくなります。次はすべて仮定の数字で、業界の料金相場やWAKURU株式会社の支援実績ではありません。施策を行わなかった場合と行った場合を、同じ期間で比べます。材料費など施術ごとに増える費用は、1人あたり1,000円とします。
来店の変化 | 通常6,000円から平日5,000円にした場合 | 比較上の差額 |
|---|---|---|
施策がなければ来店しなかった人が2人来る | 1人につき5,000円から増える費用1,000円を引く | 4,000円×2人=8,000円増 |
土日に通常料金で来る予定だった3人が平日に移る | 施術内容と増える費用は同じで、1人の売上が1,000円下がる | 1,000円×3人=3,000円減 |
この仮定では、差額は8,000円から3,000円を引いた5,000円です。ただし、広告費、特典の費用、追加勤務の費用が生じるなら、さらに差し引きます。空いた土日枠へ別の来店があった場合は、その売上と増える費用も別に加えます。
中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、売上から変動費を引いた金額を限界利益と説明しています。家賃などの固定費もここから賄うので、上の差額を店の最終利益とは扱えません。まず施策による増減を確認し、店全体の収支でも続けられるかを判断します。
実際には「施策がなければ来なかった」と全員を確定できるとは限りません。予約変更の記録で分かる曜日移動と、顧客への任意の確認で分かる来店のきっかけを分け、不明な人は不明として残します。不明分を全員追加来店と見積もらず、曜日移動が多かった場合にも採算が保てるかを試算しておきましょう。
実来店と店全体の変化の評価
施策後は、告知への反応、予約確定、実来店を分けて見ます。リンクが押された回数や相談が届いた件数だけでは、実際の来店件数は分かりません。キャンセルも区別し、対象の平日枠が実際にどれだけ使われたかを確認します。
そのうえで、土日の来店と店全体の売上も見ます。前の章の計算例のように、平日の来店件数が増えても、曜日が移っただけか、追加の来店があったかで評価は変わります。曜日を分散する目的なら分散の結果を、店全体の売上を増やす目的なら全体の変化と追加費用を確認しましょう。
対象枠の記録と比較条件
記録は、今回案内した曜日・時間帯・メニュー・担当者を対象にそろえます。予約受付日と来店予定日を残し、予定日を過ぎた予約について、来店、キャンセル、日程変更を確かめます。まだ予定日になっていない予約を、来店しなかった人に含めないようにします。
売上、値引き額、施術に伴う費用、配信や告知に使った費用を残します。金額だけでなく、案内作成や返信にかかった店内の時間も記録すると、続けられる運用かを判断できます。対象枠への予約と、それ以外の予約は分けて記録します。来店のきっかけが分からない予約を、すべて告知の成果とみなさないようにしてください。
前後の比較では、曜日構成と営業日数、担当者の勤務、受け付けた施術の条件をそろえます。休業や別のキャンペーンが重なったなら、その違いを記録します。少ない件数の増減だけで、値引きや配信が原因だったと断定せず、同じ条件の記録を続けます。
LINEビューティーオプションには、経路別の予約ページリンクを使い分けて予約数を確認する機能もあります。利用する場合は同マニュアルの経路別設定を確認します。この予約数も、実来店や曜日移動をそのまま示すものではないため、店の受付記録と合わせて見ます。
結果別の次の改善内容
結果が想定より少ない場合は、どの段階で止まったかを調べます。次の表は、原因の断定ではなく、確認する場所を選ぶためのものです。
確認できた状況 | 次に確かめること |
|---|---|
告知の反応が少ない | 対象者がその曜日・時間に来られるか、案内が届いたか、施術内容が伝わったか |
相談はあるが確定が少ない | 案内した枠を選べるか、条件が合うか、返信と確定までの受付が止まっていないか |
予約はあるが実来店が少ない | キャンセルや変更の理由、確定した日時と条件の案内、連絡窓口に食い違いがないか |
平日の来店件数は増えたが、店全体では変わらない | 曜日移動が目的に合うか、値引きや費用の増加を含めて続ける意味があるか |
例えば、予約画面で対象の施術を選べないなら、まず告知と受付の不一致を直します。反応が少ないという理由だけで割引を大きくしても、この問題は残ります。
平日も土日も新規来店が少ないなら、店を見つけてもらう入口自体が足りない可能性も調べます。その場合は、平日限定の告知に加え、美容室の集客方法の選び方も確認し、店全体に必要な施策を検討してください。
店内の担当と平日集客の進め方

最初の取り組みは、一つの対象枠と、その枠に来られる人への案内を組み合わせることです。次の順で、店内の記録を使って進めます。
- 予約台帳と勤務予定から、受けられる日時・メニュー・担当者を決めます。
- 来店履歴と本人の希望を合わせ、案内する相手と予約窓口を決めます。
- 料金条件と受付方法をそろえ、次回提案または空き枠の告知を行います。
- 予約が入ったら台帳と告知を更新し、予定日後に実来店と採算を確認します。
枠を管理する人、告知する人、返信して確定する人、受付終了を反映する人を決めます。一人で兼務する店でも、何を確認してから次へ進むかを決めておけば、告知だけ古いまま残る状態を避けやすくなります。振り返る日も決め、反応の数だけでなく、店全体の来店と費用の変化から次の改善を選びましょう。
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