問い合わせも仕事もあるのに、月末に残るお金が思ったほど増えない。紹介サイトの請求額を見ると負担を感じるものの、掲載をやめて仕事が減るのも不安。集客の見直しは、この二つの悩みを抱えたままでは決めにくいものです。
こんな方に読んでほしい記事です
- 紹介サイトから受注しているものの、手数料を引くと利益がほとんど残らない方
- 見積もりや連絡に時間がかかり、紹介された案件の採算を把握できていない方
- 掲載を続けながら、自社のホームページからも問い合わせを増やしたい方
紹介された仕事からいくら残るのか、受注できなかった案件への対応も含めて確かめます。その数字をもとに、掲載を続ける条件や、自社集客をどこから試すかを考えていきましょう。
紹介サイトの課金条件を確認する

まず、何の時点で費用が発生するかを契約内容と請求書で確認します。問い合わせを受けた段階なのか、案件に応募した時点なのか、受注が決まった時点なのかで、未受注案件の負担が変わります。
たとえばミツモアの料金案内では、成約課金型、応募課金型、応募時と成約時の両方に費用が発生するハイブリッド型が説明されています。同じサービス内でも、利用するカテゴリや応募方法の条件を確認する必要があります。
料率だけでなく、最低料金、税の扱い、追加作業を含むか、キャンセル時の請求も確かめてください。くらしのマーケットの手数料案内にも、最低手数料と消費税相当額の加算などの条件が示されています。自社が利用する契約へ置き換えて計算することが大切です。
紹介された利用者と連絡が取れなかった場合や、対象外の依頼が届いた場合も、その紹介料を支払う必要があるかを運営会社へ確認します。請求の対象から外れる制度があるなら、条件と申請期限を確認してください。返金や取り消しが可能だと決めつけず、説明を受けた日と参照した規約を残します。
既存の契約とWeb上の新規契約向けの案内が違う場合もあるため、実際の請求額を確認してから試算します。
受注後に残る金額を計算する

媒体別の採算を比較するには、売上から、作業にかかった原価、媒体の費用、営業対応の費用を引きます。問い合わせが増えても受注できなければ、見積もりや連絡に使った時間が残るためです。
以下は、計算方法を説明するための架空の月次例です。すべて税抜の管理数値とし、特定の媒体の料率や実績を表すものではありません。
項目 | 仮の金額 |
|---|---|
受注売上 | 100万円 |
作業原価 | 60万円 |
紹介料などの媒体費 | 15万円 |
未受注分を含む営業対応費 | 5万円 |
上記を差し引いた残額 | 20万円 |
この20万円は会社全体の最終利益ではありません。表に入れていない家賃や管理費なども負担する必要があります。また、営業担当者の人件費を対応費へ配分した場合、同じ費用を別の項目でもう一度差し引かないようにします。
J-Net21の損益分岐点の説明では、売上高から変動費を引いた限界利益と、固定費の回収を分けています。今回の表は社内の費用配分を含む比較用の残額なので、会計上の利益や限界利益と混同しないようにしましょう。
営業対応費には、受注した依頼だけでなく、連絡、見積もり、現地確認をして失注した分も含めて集計します。固定給の担当者が対応した時間を金額へ換算する場合は、計算に使った時間単価を社内でそろえます。
ただし、配分上の人件費が小さくなっても、その月に支払う給与が同じ額だけ減るとは限りません。媒体をやめる判断では、比較表の費用と、実際に減らせる支払いを分けて確認する必要があります。
自社集客の費用と比べる
自社サイトへの直接の問い合わせにも、ページ制作、更新、広告、問い合わせ対応などの費用がかかります。紹介料がかからないことだけで、集客費が安いとは判断できません。
比較する際は、同じ期間に、同じ範囲の費用を集計します。問い合わせ単価と受注単価も分けてください。架空の例として、集客費10万円で問い合わせが20件、受注が5件なら、問い合わせ単価は5,000円、受注単価は2万円です。
制作費のように最初にまとまって支払う費用は、実際の支払額を確認したうえで、社内比較で何か月に配分するかを記録します。都合のよい配分で自社集客だけを安く見せず、入金まで資金が足りるかも確かめましょう。
応募や紹介一件あたりの料金も、そのまま受注単価にはなりません。課金された案件のうち何件を受注できたかで、受注一件に割り当てる費用が変わるためです。未受注の案件を除外せず、同じ集計期間の費用を使って比べます。
初回のサイト制作費を分割して評価する場合も、支払った総額を別に残してください。すでにあるサイトを使う場合と新しく作る場合では、必要な初期費用が違います。比較条件を記録しておけば、他の担当者も試算を確認できます。
自社で問い合わせを受ける準備

自社集客を増やすには、相談先となるページと、そのページを知ってもらう経路を用意します。既存のサービスページで必要な説明ができるなら、新しいLPを必ず作る必要はありません。
ページには、対応できる依頼、料金が決まる条件、確認できる実例、依頼後の流れを載せます。電話やフォームへ案内する際は、読者が伝えるとよい情報と、会社からの連絡方法も示してください。
情報を届ける方法は、検索、広告、チラシ、取引先からの紹介などから、対象顧客に合うものを選びます。Googleマップを利用する場合は、ビジネスプロフィールの掲載条件を確認します。どの経路も成果を保証するものではないため、問い合わせから受注までを分けて記録しましょう。
公開後は、自社サイトを用意したことと、そこから受注を獲得したことを分けて扱います。対象顧客が使う経路を一つ選び、その案内先でサービス内容を読めるか、問い合わせに担当者が対応できるかを確認します。
紹介サイトを縮小する前に、自社で問い合わせを受けるページと、担当者が対応できる体制を用意します。ここで移すのは新規獲得に使う予算や施策の比重です。媒体経由の顧客を、その媒体の条件を無視して直接取引へ誘導することではありません。
掲載を続けるか判断する
掲載を縮小する際は、減る媒体費だけでなく、その媒体から失う受注も試算します。自社集客の件数が増えたように見えても、成約していなければ代わりの売上にはなりません。
状況 | 検討すること |
|---|---|
手数料を含めても採算が合う | 掲載を続けながら自社経路を試す |
特定の地域や作業だけ採算が悪い | 契約で可能な範囲で受ける案件や条件を見直す |
自社経路で代替の受注が得られる | 掲載プランや予算の縮小を試す |
どの経路でも利益が残らない | 価格、原価、営業対応から見直す |
依存率が一定以下なら安全という一律の基準は設けず、自社の固定費と入金予定、提供可能な件数に照らして判断します。縮小後も受注と残額を確認し、予定より落ちた場合にどこまで戻すかを決めておきましょう。
縮小案は、残す媒体と減らす媒体を分けて試算すると検討しやすくなります。減らせる掲載費・手数料に対して、失う受注から残っていた金額がどれほどあるかを比較してください。紹介経由の売上が大きいことだけでも、手数料率が高いことだけでも、継続の結論は出せません。
受注の予定と入金日にも目を向けます。自社経路で見積もりが増えたとしても、契約や入金が先なら、現在の支払いを賄う資金を別に確保する必要があります。
再依頼と顧客情報を扱う条件
紹介サイト経由の顧客へ、次回から自社へ直接依頼するよう一律に案内するのは避けてください。媒体によっては、再依頼も直接取引の制限対象になります。くらしのマーケットの公式FAQは、追加や2回目以降の依頼を、サイト上の予約なしで直接行う行為も禁止事項として説明しています。
自社集客では、自社サイトや広告などで新たに得た問い合わせを増やす方法を考えます。既存の媒体経由の顧客については、その媒体の利用規約と連絡先の利用条件を確認してください。
顧客情報を保存・利用する際は、何のために使うかも明確にします。個人情報保護委員会のガイドラインは、利用目的の特定や、取得状況に応じた通知・公表、事前明示などの原則を定めています。問い合わせへの返信に使う情報と、販促の案内に使う情報の扱いを整理しましょう。
再依頼が少ない業種では、将来のリピートを前提に初回受注の赤字を許容しないようにしましょう。実際の再依頼の履歴を確かめ、初回だけでも採算が合うかを先に確認します。
自社経路で得た問い合わせを記録する場合も、案内への同意や連絡希望の有無を確認できるようにします。返信に必要な連絡先を受け取っただけで、あらゆる販促に自由に使えるとは考えないでください。利用目的や媒体の条件が不明なら、利用する前に確認します。
最初に見直すこと
最初の作業は、紹介サイトの請求書と、問い合わせ・受注の記録を突き合わせることです。掲載費や手数料の支払いに対し、何件受注し、どれだけ原価と対応費がかかったかを整理してください。
その結果から、受注できない案件が多いのか、単価に対して原価が高いのか、媒体費が重いのかを分けます。原因によって、受ける案件を変える、見積もりを改善する、自社経路を試す、といった次の作業が変わります。
月次で集計する方法は一例です。見積もりから契約まで時間がかかる業種では、今月発生した問い合わせが翌月以降に受注へつながることも想定し、案件ごとの経過を追います。
同じ期間の費用比較に加え、いつ得た問い合わせがどの受注につながったかも残すと、単月の数字だけで施策を止める判断を避けやすくなります。最初から複雑な分析にせず、請求額、受注、原価を確認できる記録をそろえましょう。
自社経路の準備と掲載の見直しを並行し、継続的に採算を比較する形を目指しましょう。紹介サイトをやめること自体を目標にせず、必要な受注を確保しながら費用を管理できる状態を作ります。



