自院の説明が「丁寧な診療」「充実した設備」だけになり、競合との違いをどう伝えるか迷う院長・広報担当者は、受付で受けた質問と、実際の診療方針・担当体制・通院条件を並べてみてください。患者の疑問へ、自院が何を説明できるかを確認します。
その情報を既存サイトで示せるか、特定の相談を案内するLPが必要かを判断し、掲載順、医療広告の条件、実際の予約受付と照合します。この記事で扱うのは、患者が受診を検討するための情報整理です。他院より優れていると広告することや、LPで予約・来院が増えるという約束とは分けて考えます。
自院の違いとして載せる情報

違いとして載せる情報は、自院が実際に行う説明や対応から選びます。患者から尋ねられたこと、診療担当者が回答する内容、受付が案内する条件を照合し、確認できる資料を集めましょう。
以下は、質問があった場合に、掲載内容を検討するための表です。すべての患者が同じ不安を持つと決めるものではありません。
患者の迷いの例 | 医院サイトで示す内容 | 表現上の注意 |
|---|---|---|
自分が対象か | 対応する症状、年齢、受診の目安 | 自己診断や治療結果を断定しない |
費用が分からない | 保険・自由診療の区分、費用が変わる条件 | 最低価格だけを強調しない |
通院の負担が不安 | 初診の流れ、診療時間、予約変更方法 | 実態に基づく標準的な流れとして案内する |
医師を信頼できるか | 診療方針、説明方法、担当者情報 | 比較優良や保証表現を避ける |
対象となる症状や受診の目安は、広報担当者が推測して作らず、診療担当者に確認します。違いを示すために、他院より技術や安全性が優れているという広告へ置き換えないことも必要です。事実があることと、広告できる表現かどうかを別に確認してください。
自院と似た説明を載せている医院があれば、制作担当者が、その医院の公式サイトにある診療案内、費用表、医師や担当体制、診療時間と予約・変更方法、FAQを読みます。確認する項目をそろえた院内の比較記録に、対象URL、確認日、記載された条件を残してください。自院については、制作担当者が診療・受付担当者に、診療方針、料金と適用条件、勤務・受付体制、患者から受けた質問を確認し、同じ診療や条件を比べているかを確かめます。他院の資料に記載がない内容は不明のまま残し、未実施とは決めません。保険・自由診療の区分や含む内容が異なる費用も、そのまま金額を比較しないようにします。
比較後は、自院で確認できた具体的な対応、既存ページですでに説明していること、未回答で担当者の確認が必要なことを分けます。患者の質問に対して説明が足りない箇所を、既存ページやLPへ載せる候補にしてください。資料が似ているだけなら無理に違いを作らず、他院の文章や写真を転用しません。この内部比較を他院より優れているという広告へ変えず、自院の条件がページの説明と実際の対応で一致しているかを確認します。掲載できる表現かどうかは、後述の医療広告の条件と照合してください。
診療方針と説明の実態
「丁寧に説明します」を具体化するなら、初回に何を確認し、治療の選択肢を誰がどの段階で説明し、患者の質問をどう受けるかを調べます。実際に行っている手順と、今後行いたい対応は分けてください。
例えば、選択肢の利点と注意点を説明し、話し合って方針を決めているなら、その実施内容が掲載候補になります。これは進め方を考えるための例で、自院で行っていると確認する前に完成コピーとして使うものではありません。
厚生労働省の医療広告等ガイドラインでも、治療方針は成功率や治癒率などの治療効果を説明せず、広告可能な事項の範囲であれば記載できるとされています。「説明を大切にする」という方針を、「必ず納得できる」「治療が必ず成功する」という約束へ広げないようにしましょう。
担当体制と通院条件
担当する職種、診療曜日、診療時間、所在地やアクセス、院内設備の利用条件を確認します。担当者が曜日で変わる、利用前に確認が必要な設備があるなどの条件も、受診を検討するための情報です。
設備名を並べる場合も、診療上の用途と広告できる範囲を院内で確かめて説明します。設備があることだけから、特定の治療効果や、誰でも常時利用できることを付け足しません。
診療方針、費用説明、症例の考え方、予約前FAQ、院内情報、担当者の説明をそろえ、数字、実績、費用、期間、成果を示す場合は対象と資料を確認します。資料がなければ、掲載前に確認する項目として残し、推測で埋めないでください。
医院サイトとLPの役割

ここでは、特定の診療や相談に必要な情報をまとめ、受診の検討や問い合わせへ案内するページをLPと呼びます。医院全体の情報を載せるサイトと、特定の案内を担うページとして役割を比べます。
既存の診療ページで内容、費用、注意点、予約方法を説明できているなら、そのページを改善する案もあります。対象となる相談や入口での案内が異なり、情報をまとめ直す必要がある場合に、専用LPを検討しましょう。別ドメインや長い一枚のページを必須条件にはしません。
入口媒体と案内先、次の行動
媒体名だけで来訪者の気持ちを決めず、広告や投稿で何を案内し、その案内を見た人にどのページを示すかを考えます。次の表は、ページを対応させるための仮定例です。実際の相談内容や流入記録と照合して使います。
入口 | 想定する場面の例 | 最初に見せるページ | 次の行動の案 |
|---|---|---|---|
検索・マップ | 地域の医院を比較している | 診療内容、アクセス、診療時間 | 初診案内、予約 |
症状検索 | 自分の状態について情報を探している | 診療担当が確認した症状別の受診目安と診療方針 | 対象診療、相談方法 |
広告 | 特定の治療を検討している | 適応、選択肢、費用条件、リスク | 実施している場合のカウンセリング予約 |
SNS・紹介 | 医院の雰囲気を確かめている | 医師・スタッフ、院内、方針 | 医院サイト、予約 |
Google広告の公式説明では、検索キャンペーンはGoogleで商品やサービスを検索する人へ、検索結果にテキスト広告を表示すると案内しています。この接点の仕様から、広告を見た人は全員相談を急いでいる、SNSから来る人はまだ比較していない、とは決められません。
どの入口でも、医院名、診療時間、所在地、費用条件、予約後の説明を照合します。LPだけで実際より強い約束をしないようにします。月ごとに振り返る場合も、クリックだけでなく予約完了と実来院を別に確認し、どの情報や案内先を直すかを検討してください。月次は振り返りの一例です。
患者の判断材料を並べる構成
LPには、対象と診療内容、方針や体制、費用・通院の条件、注意点、質問への回答、受付方法をつなげて配置します。順番を固定の心理法則とせず、自院で確認した質問と、先に伝える必要がある条件から決めましょう。
場所 | 役割 | 確認すること |
|---|---|---|
ファーストビュー | 対象を伝える | 対応範囲と相談内容が分かるか |
中盤の説明 | 比較材料を示す | 診療方針、費用説明、症例の考え方、予約前FAQ、院内情報が具体的か |
FAQ | 質問への回答を示す | 費用、流れ、対応可否を説明しているか |
CTA前 | 次の行動を示す | 連絡した後に何が起きるか分かるか |
予約や問い合わせへ案内するボタンやリンクをCTAとして置く場合は、数を増やす前に、押す前の説明と押した後にできることを照合します。
冒頭の対象と診療、費用の条件
冒頭では、どの医院が、どこで、何の相談を受け付けるページかを示します。対象症状や適応、受診目安は診療担当者が確認した範囲で説明し、自己診断や結果の保証を促す表現を加えません。
治療を説明する部分では、保険・自由診療の区分、費用が変わる条件、標準的な流れを示します。期間や回数を載せる場合も、全員の確定値として扱わず、医院の実際の診療と条件を確認します。
自由診療の情報を広告可能事項の限定解除の条件で提供する場合は、通常必要な治療内容、標準的な費用、期間・回数、主なリスク・副作用等の説明を確認します。最低価格や利点だけを強調せず、必要情報を別ページや極端に小さい文字へ隠さない構成にします。
予約前のFAQと受付方法
FAQでは、初めての受診で何を伝えるか、相談だけの受付があるか、連絡後に何が起きるかを実運用から説明します。予約と相談で窓口が異なる場合は、その違いも明確にしてください。
フォーム送信で日時が確定するのか、送信時点では仮受付で、医院が確認して連絡した後に確定するのかを、実際の処理に合わせて説明します。電話やWebなど利用できる窓口だけを載せ、変更・キャンセルの方法も受付担当者と確認します。
今すぐ予約しない人へは、FAQ、資料、事例、関連ページなど、用意している情報を案内する方法もあります。LINEやメールは医院が受け付け、確認・返信できる場合に限って案内します。各接点の案内内容と、実際の受付条件が一致しているかを点検しましょう。
医療広告の掲載条件
掲載する表示が医療広告に該当するかを確認し、該当する場合は広告可能事項と禁止事項、媒体ごとの条件を照合します。ここで参照する厚生労働省のガイドラインは、令和8年3月30日最終改正の資料です。
同ガイドラインでは、他の医療機関と比較して優良である旨の広告は、事実でも認められません。「日本一」「最高」など、優秀性について著しい誤認を与える表現も禁止されます。一方、これらを除く客観的事実の記載まで一律に妨げるものではありませんが、合理的な根拠を示せることや、調査結果の出典・実施主体・範囲・時期等を併記することが求められます。事実があれば何でも広告できるという意味ではありません。
広告可能事項の限定解除では、患者が自ら求めて入手する情報を示すWeb等であることと、容易に照会できる問い合わせ先等を確認します。自由診療の場合は前述の治療内容・費用等と主なリスク・副作用等の情報も必要です。限定解除でも虚偽や比較優良などの禁止は残ります。
バナー広告や有料検索結果の広告そのものは、患者が自ら求める情報という最初の要件を満たさないとされています。移動先のLPに説明があることを理由に、広告本体へ同じ表示ができるとは判断しません。診療担当者等が広告とLPをそれぞれ確認する工程を設けます。
実績と写真、患者の体験談
実績を載せる場合は、対象、期間、件数の根拠を確かめます。実績を他院への優越や治療結果の保証に変えないようにしてください。
医院が受診を誘引する目的で、患者の主観や伝聞による治療内容・効果の体験談を紹介することは、医療広告として認められません。本人の同意や「個人の感想」という注記だけで、この禁止の対象を使えるとは考えないでください。医院の費用負担や依頼などの誘引性が認められない第三者の自発的投稿と、その投稿を医院のLPへ広告素材として転載する判断も区別します。
治療前後の写真には、誤認のおそれ、通常必要な治療内容や費用、主なリスク等の詳細な説明、限定解除の対象かという条件があります。写真一般を一律禁止とも、説明を付ければ無条件に掲載できるとも扱いません。写真だけを並べず、必要な説明を近くで確認できるようにし、判断が難しい表示は所管自治体等へ確認しましょう。
制作前と公開後の確認
制作前には、掲載する事実、費用表、担当体制、写真、受付方法を集め、誰が確認するかを決めます。スマートフォンで文章や条件を読めるか、予約先へ進めるか、送信後に受付担当が内容を受け取れるかを試してください。
公開後は、流入元、主要ページの閲覧、予約ページやフォーム前の操作を、実際の問い合わせ、予約、実来院と分けて記録します。未計測はゼロ件と区別し、受付で同じ質問や案内との行き違いがあれば、FAQや診療の説明へ戻します。
見出しを直す、事例の条件を補う、FAQを追加する、受付後の説明を置く、広告の案内先を変えるなど、実際に確認した不足から選びます。少数件の変化、予約枠、ほかの施策も考慮し、修正だけで予約や来院、説明負担が改善したとは断定しません。
確認資料と更新の分担
公開前や情報変更時には、次を確認します。
- 案内する診療や相談の対象と、事前確認が必要な条件が明確か。
- 実際の対応範囲と受付条件を説明しているか。
- 入口媒体、医院サイト、LP、予約先の案内が一致しているか。
- 診療方針、費用、症例の考え方、予約前FAQ、院内情報が確認できるか。
- CTA前に連絡後の流れが分かるか。
- 数字、実績、費用、効果を示す場合に資料と広告条件を確認したか。
- すぐに予約しない人へ、実在する資料やFAQ、関連ページを案内できるか。
- 公開後に受付の質問と予約・来院を確認し、更新する担当が決まっているか。
医院側は診療内容、費用、適用条件、公開可否を確認し、制作側は確定した情報を掲載順と文章・画面へ反映します。変更があったときに連絡する人と、更新して公開画面まで確認する人も決めましょう。
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