売却相談のページで「専任媒介がおすすめ」と先に結論を出しても、売主が知りたいのは査定の根拠、任せた後の活動、費用、担当者との連絡方法です。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介には依頼できる会社数や売主自身が買主を見つけた場合の扱いなどに違いがあります。Webでは選択肢を隠さず、相談から契約判断までの材料を順に示しましょう。
この記事は不動産会社の経営者・Web担当者向けに、売主が媒介契約を選ぶ前の情報設計と営業への引き継ぎを整理します。契約の説明は国土交通省の宅建業法・標準媒介契約約款と自社が使う最新の契約書を照合してください。
査定前の不安を相談項目に変える
売主は、まだ売却を決めていない段階でも、価格の見通しや販売期間、住み替え、家族との相談、残債、室内写真の公開範囲を気にします。フォームを契約の意思表示として扱わず、「まず相談」「査定を依頼」「訪問日を調整」の段階を分けます。
売主の疑問 | Webに載せる判断材料 | 受付で確認すること |
|---|---|---|
査定額はどう決まるか | 参照資料、物件状態、査定額と売出価格の違い | 所在地、面積、築年数、改修歴、資料の有無 |
いつ売るか | 希望時期ごとの相談の進め方 | 引渡し希望、住み替え、共有者の意向 |
誰に情報が伝わるか | 写真・所在地の掲載範囲と連絡方法 | 公開できない情報、連絡可能な時間 |
何を準備するか | 相談時と訪問時に必要な資料の例 | 権利関係、ローン、境界など未確認事項 |
査定の具体的な説明と訪問への移行は査定から訪問相談への導線へ、売却LP全体の構成は売却相談LPの設計へつなぎます。このページでは媒介契約を選ぶまでの判断材料に集中します。
媒介契約の選択肢を同じ表で示す
専任媒介だけを有利に見せる比較は避けます。国土交通省の標準媒介契約約款と東日本レインズの媒介契約制度を踏まえ、売主が条件を比較できる表にします。以下は制度上の要点です。実際の契約内容は契約書で確認します。
比較項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
他社への重ねての依頼 | 可能 | できない | できない |
売主が自ら見つけた相手との取引 | 可能 | 可能 | できない |
指定流通機構への登録 | 法定の登録義務なし | 契約翌日から7日以内に登録 | 契約翌日から5日以内に登録 |
業務処理状況の報告 | 法定の定期報告義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
登録期限の計算では宅建業者の休業日と指定流通機構の休止日を除きます。専任・専属専任では登録証明書を依頼者へ渡します。契約期間は専任・専属専任とも3か月を超えない範囲で定め、更新は売主の申出を踏まえます。一般媒介でも、報告方法や登録の扱いを契約時に確認できます。「専任なら高く早く売れる」といった結果の保証にはつなげません。
Webでは表の直後に「どの契約が適するかは希望する売却方法、他社への依頼予定、自分で買主を探す可能性を伺って説明します」と置くと、専任だけへの誘導を抑えられます。専任獲得の営業施策そのものは専任媒介の集客施策に分けます。
査定根拠と販売計画を見せる
査定額だけを大きく載せても、売主は依頼後の活動を判断できません。査定時には参照した成約・売出情報、物件固有の状態、価格を変える前提、確認できない事項を区別します。査定額は成約価格の約束ではありません。
販売方針の見本は、実在しない物件を成功事例として見せず、記入欄として公開できます。
項目 | 記入欄の例 | 売主へ説明する点 |
|---|---|---|
売出価格の案 | [査定根拠を記入] | 希望額との差、見直しを相談する条件 |
販売対象 | [想定する買主像を記入] | 根拠と、対象を狭めすぎない方針 |
掲載媒体 | [自社サイト・ポータル等を記入] | 写真、所在地、公開時期の承諾範囲 |
内見対応 | [担当・連絡方法を記入] | 日程調整、居住中の配慮 |
活動報告 | [方法・担当を記入] | 反響、内見、提案内容をどう伝えるか |
見直し条件 | [確認日・判断材料を記入] | 反響だけで即値下げしない判断順 |
会社が実際に実施する掲載先、担当体制、活動内容だけを提示します。高額査定で媒介契約を急がせるより、価格の根拠と販売方法を持ち帰って比較できることが相談の信頼につながります。
相談から契約判断までを引き継ぐ
Web担当、受付、査定担当の間で売主の希望が消えると、ページの説明と面談内容が食い違います。フォームでは必須項目を絞り、詳細は初回連絡で確認します。入力時には個人情報の利用目的、連絡方法、資料共有の範囲を自社の運用に合わせて示します。
- Web受付:相談目的、物件の概要、希望時期、希望する連絡方法を記録する。
- 初回連絡:売却の確定度を決めつけず、不安と未確認事項を聞く。返信目安は実際の受付体制に合わせて表示する。
- 査定・訪問:価格根拠、売却条件、現地で確認した事項を同じ記録票へ残す。
- 販売方針の提案:担当者、掲載範囲、活動予定、報告方法、費用と別途発生し得る項目を説明する。
- 契約方式の選択:一般、専任、専属専任の違いを示し、売主の希望に沿って判断を受ける。
媒介報酬は国土交通省の報酬告示と案内で上限を確認したうえで、実際の約定額、支払時期、広告等の別費用の扱いを個別に説明します。料金表にない費用を一律に「無料」と記載しないでください。
契約後の活動と報告を先に説明する
売主が専任媒介で不安に感じるのは、契約後に何が行われるか見えなくなることです。Webでは、法定の登録・報告に加え、自社が提供できる連絡内容を具体化します。たとえば報告書の項目を「掲載状況、問い合わせ、内見、買主側の反応、次の提案」に分け、何も反響がない期間も状況と次の確認事項を伝える運用にします。
説明する内容 | 公開前に社内で確かめること |
|---|---|
指定流通機構への登録と証明書 | 登録担当、期限の管理、売主への交付方法 |
活動報告 | 契約方式ごとの頻度、記録、代理担当の対応 |
広告・内見 | 掲載同意、写真の範囲、日程連絡、鍵の管理 |
価格や方針の再検討 | どの情報を見て、誰が売主に提案するか |
報告の頻度だけで成果は保証できません。売主に約束するのは、確認可能な活動と相談の機会です。実際の報告書見本を載せる場合は、個人情報と物件情報を除き、自社の様式・運用と一致させます。
導線と相談品質を点検する
Web上のCTAは「専任媒介を申し込む」一択にせず、「売却方針を相談する」「査定の根拠を聞く」など現在の検討段階に合う入口を用意します。ボタンの近くに対象地域、相談後の流れ、連絡可能な時間、担当者が確認する情報を置きます。問い合わせ後は、契約方式の説明と提案資料を同じ担当記録で追えるようにします。
段階 | 記録する数 | あわせて見る質 |
|---|---|---|
ページ閲覧から相談 | 流入別の閲覧と相談完了 | 物件種別、地域、相談内容の適合 |
相談から査定 | 連絡成立、査定・訪問の実施 | 連絡遅れ、準備不足、売主の不安 |
査定から契約判断 | 提案実施、契約方式ごとの選択 | 非選択理由、条件不一致、追加説明 |
少数の問い合わせから専任率の改善を断定せず、同じ期間と流入条件で比べます。相談内容を見て、査定根拠が足りないのか、販売活動が見えないのか、契約の違いが伝わらないのかを一つずつ直します。地域全体の集客設計は地域密着の不動産集客と分けて考えます。
まずは自社ページと営業資料を並べ、媒介契約の比較表、査定根拠、販売計画、報告の約束が同じ説明になっているかを確認してください。WAKURU株式会社では、売却相談ページの情報整理からフォームと担当者への引き継ぎまで、現行の運用を踏まえて改善箇所を一緒に検討できます。



