アクセスはあるのに査定依頼が少ない場合、ボタンの色を変える前に、どの段階で問い合わせが止まっているかを確認しましょう。ページに説明が足りない場合と、フォームを送信できない場合では、修正する場所が異なります。
不動産売却サイトのCVRを改善するときは、査定依頼の送信完了を成果として定義し、ページ訪問、フォーム到達、入力開始、送信完了を分けて調べます。送信できない不具合を先に直し、その後、止まる場所に応じて説明や入力項目を見直しましょう。
不動産サイトのCVRの測り方
CVRは、対象となる訪問や操作のうち、決めた成果に至った割合です。本稿では、売却ページから始まったセッションのうち、査定依頼の送信完了があったセッションの割合を、ページのCVRとして扱います。同じセッションで複数回送信しても一つとして数える定義です。
たとえば、対象の1,000セッションのうち10セッションで送信が完了した場合は1%です。フォーム到達者を分母にした完了率とは別の指標なので、同じ名前で混ぜないでください。この数値は計算例であり、業界平均や目標値ではありません。
GA4の拡張計測機能には、初めてフォームを操作した際のform_startと、フォームを送信した際のform_submitがあります。ただし、査定依頼が業務上受け付けられたかは、自社の送信処理と受信記録を照合して確認します。電話ボタンのタップや、フォームを開いただけの操作を査定依頼へ含めないようにしましょう。
離脱箇所と不具合の確認
最初にスマートフォンで、フォームへ進む、入力する、確認する、送信する、担当者が受け取る、という一連の動作を確認します。入力エラーが出た場合に直せるか、戻る操作で入力が消えないかも試してください。
動作に問題がなければ、各段階の数字から調べる場所を絞ります。
止まっている段階 | 確認する内容 |
|---|---|
ページを見てもフォームへ進まない | 対応地域や物件種別が合っているか、ボタンから行えることが分かるか |
フォームに着いても入力しない | 何の情報が必要か、送信後に誰からどう連絡があるかが分かるか |
入力するが送信完了しない | エラー、必須項目、入力形式、戻る操作に問題がないか |
完了の計測はあるが受付記録がない | 完了イベントの発生条件、通知や保存の処理が正しいか |
表は原因の断定ではなく、調査する箇所の例です。営業で聞かれた質問と操作テストを合わせ、売主の気持ちを数字だけから決めつけないようにします。
営業担当には、査定前に実際に聞かれた質問を集めてもらいます。「連絡方法を選べるか」という質問が続くなら、受付方針を確かめて説明を追加する仮説になります。一方、入力途中にエラーが再現するなら、説明を増やす前にその動作を直します。観察した事実と、そこから考えた原因を別々に記録してください。
査定前の説明とCTA
査定依頼の近くには、対応する物件とエリア、依頼後の流れを示します。メールで回答するのか、電話で状況を確認するのか、訪問の日時を調整するのかを、実際の受付に合わせて伝えてください。
ボタンの文言は、押した後の行動と一致させます。「相場を確認する」と表示しているのに、移動先で詳細な個人情報と訪問予約を求める場合は、文言か受付方法を見直します。査定の流れを読みたい人には、説明を確認してから依頼できる案内も用意しましょう。
営業電話をしない、希望の連絡方法を選べる、といった約束は、社内で実行できる場合だけ掲載します。単に不安を減らすための文例として追加しないことが大切です。担当者や近い条件の対応事例も、確認済みの内容を案内してください。
地域や実績の説明は、自分の物件を相談できるか判断できる内容に絞ります。近い物件種別や相談背景の事例があれば、確認済みの条件と行った対応を示します。実例がない場合に、実績多数と書いたり他地域の事例を転用したりしません。
個人情報の使い道についても、実際の利用目的の説明とフォームの案内を揃えます。「査定連絡以外には使用しない」といった文を、運用を確認せずに付け加えないでください。案内文と実際の連絡が食い違えば、フォームの見た目を改善しても受付の問題は残ります。
スマホの査定フォーム
フォームの項目を減らす前に、各項目を何に使うのかを受付担当と確認します。物件所在地、連絡先など、今回の依頼を受けるために必要な情報は残し、後で聞ける詳しい事情は分ける方法があります。W3Cのフォームの案内でも、目的に必要な情報だけを求めることが推奨されています。
入力欄には、何を入れるのかが分かる名前を付けます。W3Cはラベルと入力項目の関連付けを案内しています。入力を始めると消える例文だけに頼らず、項目の名前と入力例を区別すると、途中でも確認できます。
必須と任意、分からない場合の入力方法を明確にし、エラーを確認して修正できる入力検証を用意します。たとえば電話番号の形式が合わない場合に、どの欄をどう直すのかが分かるかを試しましょう。
フォームを複数画面に分ける場合は、進む・戻る操作と入力内容の保持を確認します。分割自体を改善とみなさず、各画面から送信完了まで進めるかを確かめてください。
変更前後の比較方法
変更日、対象ページ、変更した内容を記録し、同じ分母と成果地点で比較します。スマートフォンとPC、広告と自然検索などを分け、流入元の構成が変わっていないかも見ます。
比較表にはセッション数、送信完了のあったセッション数、CVRに加えて、有効な査定相談と面談へ進んだ数を載せます。入力を簡単にして送信が増えても、対象外や重複が増えていないかを確認するためです。
件数が少ない時期は、率の変化だけで勝ち負けを決めません。表示や送信の不具合は修正後すぐに動作確認できますが、文言や構成が相談に与えた影響は継続して観察する必要があります。複数の変更や広告の増減が重なった場合は、特定の修正だけの効果と断定しないでください。
たとえば、同じ定義で改善前が200セッション中2件、改善後が200セッション中3件なら、CVRは1%から1.5%になります。増えた完了セッションは1件です。この仮定の計算だけでは改善効果があると判定できません。少数の増減、流入元、広告内容、集計期間を合わせて確認します。
変更記録には「何を見て、何を直し、何で確かめるか」を残します。フォームのエラーを修正した場合はエラーの再現がなくなったか、連絡方法の説明を追加した場合は送信と有効相談の変化を追う、と確認方法を対応させてください。
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